日本の保護者に欠けている「大学評価」の視点

偏差値だけでは見えない大学の価値

最近、日本は大学の偏差値を揶揄してネット番組にしていたインフルエンサーが大炎上していますが、しかしながら、あの動画が人気だというのは大変日本的です。

wakatte.TV より

日本は社会人も保護者も学生も、大学名や偏差値という序列でしか見ておらず、評価基準があまりにも単純なのです。

大学と言ってもあくまで「トレーニング機関」にすぎないのだから、大学によって得意なこと、得意ではないことがあります。文学部と電気工学部はやることが全く違います。しかし、そこには考えが及ばない。入試の内容だって全く異なります。

しかも大学というのは、たった1人で何かやる所ではなく、教員や他の学生と共同研究したり、外部企業などとの協業もある。

その大学でなければできない実験や研究もあるし、場所も結構重要です。

そしてOBやOGとのネットワーク、そこで得られる交友関係などの「数字に現れない価値」もかなり重要です。社交クラブ的な側面、コミュニティに入るという側面があるからです。しかし、そこは評価の対象に入っていない。勉強よりはこっちの方が重要なこともあるのです。

そして同じコミュニティに所属する学生や教員から受ける刺激や気づき、同じ文化を共有することにより、非認知力、認知力の向上、行動原理を身につけることなどは生涯にわたって影響を受けます。

人間は周りを模倣します。若い時に受けた影響は、その後の哲学や人格形成に多大な影響を及ぼします。

「教育サービス」を買う側の視点

さらにこの21世紀に、保護者も学生も大学を神聖化しすぎていて、提供されている教育の質や、さらにそこで働く教員の仕事の質を批判的に見る視点が欠けています。

何百万円もの「教育サービス」を買うのは保護者や学生です。中には借金する人もいます。お客なのだから、サービス提供側は厳しく審査・監視をして当たり前です。

しかし、その視点がない。

師が不勉強だったり、倫理観に欠けていたり、知的能力に欠けていたら、良い教えなど受けられるわけがありません。

しかし日本の大学には、残念ながら特に文系の一部にはおかしな人が存在しています(理系は大半が激務で、文系も真面目な人が大勢おりますが)。

大学教員の仕事はもっと厳しく評価されるべき

基本的に他の先進国では、大学の教員はどこも激務で、テレビやネット放送に出たり、政治活動をやる暇は一切ありません。夏休みもほとんどないほどです。大学側も教員の実稼働時間を厳しく審査しています。

【参照リンク】東京大学 本田由紀教授の「皇族差別発言事件」でさらに議論されるべき問題 谷本 真由美

東京大学 本田由紀教授の「皇族差別発言事件」でさらに議論されるべき問題
東京大学・本田由紀教授の皇族差別発言事件が大炎上していますが、議論の多くは本田教授の発言の意図に感情的に注力するものが多く、もっと「根源的な問題」に注目しない人が多い印象です。発言の意図よりも「根源的な問題」「根源的な問題」とは、本田教授を...

論文作成そっちのけでテレビやネット、政党の集会に出ていたら、嫌味を言われるだけではすみません。業績評価が頻繁にあるので、そこで管理業務から教育指導、研究時間に費やした時間など、細かく精査されます。おかしな点があれば懲戒です。

なぜ日本の大学教員の中には課外活動をやる暇がある人がいるのか? そういう業績評価をなぜやっていないのでしょうか? 会社であれば当たり前です。海外先進国の大学は会社と変わりません。

そのような大学の中の人のパフォーマンスを監視する視点が、保護者にも学生にも欠けているのです。サービスを買う方なのだから、もっと厳しく批判しなければなりません。

さらに大学には私立でも莫大な税金が投入されていますから、納税者もどんどん批判しなければならない。

皆のお金が使われているのです。

大学教育を「投資」として評価する視点

私の著書『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズでも紹介してきましたが、他の先進国では大学の中の人々の仕事の質や内容をかなり厳しく精査します。

保護者や学生は、入学前にどんな内容の教育が行われているか、教員はどんな人間か、どんな実績があるかを細かく見ています。

さらに、重要なのが出口で、卒業生はどこに就職したか、卒業後何年後の収入はいくらか、OB/OGのつながりなど、実に細かく「費用対効果」を見ます。

教育は投資行為なので当たり前ですね。

近年の大学の学費は高額で、アメリカの場合、私立だと1年で1000万円を超える学校もあります。イギリスは年に200万円を超えます。生活費も合わせると莫大な「お買い物」です。家を買うレベルです。それで今は卒業しても就職できないので、相当慎重にならざるを得ません。

欧州大陸はドイツのように大学がほとんどただに近い国もありますが、それでも税金が高いので、税金が使われる大学に対しては大変厳しい視点です。

日本人も大学に対してはもっと多角的な視点を持つべきですし、政治活動や私利私欲の追求に熱心な教員には厳しく対処しなければなりません。


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