観光庁、国土交通省、厚生労働省は、先日、全国の地方公共団体宛てに「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言)」を通知し、自治体の判断で合理的に必要と認められる限度で、新たな民泊事業の実施禁止や営業日数の制限など、条例による立地規制を行うことを可能としました。さらに、近隣住民からの苦情をシステムで管理することを条例で可能にするとしました。滞在人数やチェックイン、チェックアウトの時間も規制できるようにするとしています。
しかし、こんな甘すぎる規制で民泊が減るわけはありません。政府がやっていることは、はっきり言って付け焼き刃の施策です。外国人を日本に入れまくって、後始末を自治体に丸投げではどうしようもありません。
海外では民泊規制が急速に強化
しかし、私が『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズで解説したように、他の先進国では民泊がほぼオワコン化しており、規制がどんどん厳しくなっているという実態があります。
なぜ日本のマスコミはこれを無視しているのでしょうか?
一体誰が得しているのでしょうか?
他の先進国では、民泊が激増したためにコミュニティーが破壊されています。
麻薬取引や売春、人身売買などの反社会的行動が増えて、地域住民の苦情が激増していること、そして賃貸住宅や民間の住宅の市場が民泊により崩れてしまったということが原因です。
民泊の物件だらけになり、一般の勤労者などが居住する物件が激減してしまったのです。しかも、短期賃貸で値段をつり上げて貸すので、近隣の賃貸家賃が上がってしまい、都市のバランスが崩れてしまいました。
これでは良くないということで、現在ではどこでも規制に躍起になっています。
ロンドンでは年間90泊が上限
例えばイギリスの場合は自治体によって規制が異なるのですが、トラブル多発で全体的に厳しくなっています。
ロンドンの場合は「2015年規制緩和法(Deregulation Act 2015)」
休暇目的の短期賃貸」は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に90泊が上限とされています。不動産の所有者が一緒に滞在する日数はカウントされません。
例えば、高齢の夫婦が自宅の一部を改造して旅行者に貸した場合はカウントされません。
Airbnbは90泊になると、リスティングを自動的にブロックする仕組みになっています。罰金は最大2万ポンド(約430万円)なので、決して軽くありません。
90日を超えると一般賃貸契約や、ベッド・アンド・ブレックファーストのような「事業物件」となり、これが結構大変です。登録が変わるので、自治体で許可を取る必要がありますが、短期賃貸を厳しく制限している地区だと許可が下りません。
ロンドンの短期賃貸に関する新たな規制:今後の動向(2026年)

さらに重要な規制が、2023年地方分権・再生法(Levelling-up and Regeneration Act 2023)です。これは物件を全国統一のシステムに登録して許可を取得する仕組みで、本年2026年から実施の予定です。

coldsnowstorm/iStock
税制で「民泊専業」を狙い撃ち
さらに重要なのが税制上の扱いです。休暇用賃貸物件の1年間の賃貸日数が140日を超える範囲で運用され、お客さんの実際の滞在が70日以上になった場合、物件は事業用固定資産税(ビジネスレート)を払わねばなりません。
これは事業を行っている物件に対してかかる固定資産税です。政府評価額に対してレートが適用されるため、かなり高く、払えない店舗が近年は次々に廃業しています。
私は、これは非常に賢いやり方だなと感じました。つまり、定年退職した夫婦などがやっているベッド・アンド・ブレックファーストや、地方の家の一室を旅行者に貸す物件の場合、オーナーが住んでいて、出張や長期旅行中に貸すだけの物件なら、賃貸が専業ではないので、この仕組みで損をすることはおそらくないのです。
しかし、ロンドンや他の大都市は民泊が本業になってしまっている人々がおり、彼らは一般住宅をほぼホテルのような状態で貸し出していて、儲けているので、この仕組みにがっつりと引っかかるわけです。
儲からないとなったら手を引く人が増えますから、民泊が減るという仕組みです。
日本も付け焼き刃ではなく根本対策を
どうも日本政府も自治体も、このように頭を使った規制をやる気がないようですが、日本もこのまま放置しておくと、すでに京都や大阪で起きている一般住宅の不足や賃貸家賃の高騰、そして反社会的行動の増加などといったことにより、コミュニティーが破壊されますから、一刻も早く対策を取らなければなりません。
私の見解からすると、現在の政府のやっていることは付け焼き刃的で、根本的な問題を解決しようという姿勢が全く見えません。コミュニティーは1回崩壊してしまうと、回復するのは相当難しいですから、一刻も早く取り組んでほしいものです。
しかし、民泊を頭から禁止しますというのも難しいので、イギリスのように事業用物件として扱って、固定資産税、売却時のキャピタルゲイン引き上げ、社会保険に割高なレートを適用するなどして縛るという方法が非常によろしいのではないでしょうか。
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