国連総会でニューヨークに各国首脳が集まり、併せて習近平氏の訪米も重なり、いわゆる外交ウィークになりました。特に習近平氏の国賓招待と米中首脳会談を軸に高市氏とトランプ氏の会談、および26日夜には高市氏とトランプ氏が米中首脳会談のフォローアップ電話も行なわれました。これは前回、トランプ氏が中国を訪れた際、帰路に専用機から高市氏に電話したケースと同じでトランプ氏の「気遣い」を感じます。(もちろん、そういう約束があったのかもしれませんが、私はトランプ氏が気を遣っているように思えます。)
一連の流れについては報道が出そろうのを待っていたのですが、いまだにしっくり来ておりません。それは米中首脳会談で何が話し合われたのか、そして何が合意されたのか報道内容が正しいとすれば「成果は何処に?」なのであります。つまり私の個人的評価とすれば30点しか出せないのです。
なぜそれほどの低評価になるのか、といえば合意できる内容がほとんどなかったからであろうと思います。
まず、若干の貿易の改善は発表されましたが、アメリカ側のEVの受け入れについては何もありませんでした。可能性としてはアメリカの自動車団体から本件について猛反発があったので中間選挙を前にそんなことを合意したら選挙は崩壊すると見たのかもしれません。AIの呼称をSIに変えることなどはどうでもよいことですが、そんな事柄が合意内容に盛り込まれる程度だったと言えましょう。
今回の最大の印象はトランプ氏が中国を同盟国と述べた点です。それを受けて習氏が「中国とアメリカは(同盟国として)日本の軍事主義に対して共に戦った」としています。この関係は恋愛の三角関係を想像してもらうのが一番単純化出来てわかりやすいのですが、日本は古女房役で、そこに化粧をたっぷり塗りたくって本当の顔が見えない中国が「あっちより私の方が魅力的よ」と言い寄ったようなものであります。驚くことにトランプ氏は「君はきれいだ」と言ってしまったようなものであります。
では高市氏とトランプ氏の直接談義はどうだったでしょうか?対談時間は35分。事前に記者を入れた部分が5分ぐらいあったわけですから実質30分。通訳を入れているので正味話は15分。話の主題は①習近平氏の訪米を前に日米間の連携確認 ②ICCの件について日本の立場を意見 です。この2つの話題を高市、トランプ氏が双方でしゃべるのですから単純に持ち時間3分半ずつであります。

日米首脳会談での高市首相とトランプ大統領 ホワイトハウスXより 2026年9月
大々的に日米首脳会談だと言ってもたったこれだけの持ち時間のやり取りしかできないのです。たとえばICCの件については首相という立場から大統領に意見を伝えるのが精いっぱいで討論したとは到底思えません。基本は外相レベルに落としてあとはそこで細部にわたって内容を検討するということになります。でもこれ、トップ同士が「聞いたけど判断は別次元」となりかねないと思います。
私の評価です。
高市VSトランプ 高市氏の一方的押し出しの勝ち
トランプVS習近平 習近平氏の横綱相撲で相手を寄せ付けず
ふと感じたのはトランプ氏がこのところ急速に衰えたように見えるのです。一言でいえば老け込んだ、そして判断がほぼ場当たり的で本当に残り任期2年4か月が持つのだろうかという懸念であります。一部の民主党議員からもそのような声が上がっていると聞きますが、明らかにシャープさを失っていると思います。
仮にトランプ氏が習氏と今年あと2回、首脳会談をするとすれば習氏の思うつぼになるように感じます。個人的には12月のG20への習氏の参加は実際にはペンディング状態で11月のAPEC次第だと思います。そして米中対話の深化は日本にとってあまり都合がよくないかもしれません。なぜなら外交の点では日本が中国と断絶関係にある中、当初はトランプ氏がその関係改善の仲介をする期待感があったのですが、100歩譲っても今回、APECまでに日中の対話が再開されることはなさそうです。つまり高市氏は極めて厳しい環境の中、APECに出席せざるを得ない公算が高いとみています。
このような環境の中、日本国内では保守的な考えの方がじわっと増えているように見えます。では日本の保守とはなにでしょうか?時として一部からはまるでゲーム感覚すら感じることもあります。その前提は「日米関係の強化により東アジアからの勢力に対峙する」であります。一方でカナダのカーニー首相が唱えるような米中大国の都合に巻き込まれないような新たな連携の模索もあります。私はカナダに在住するからそういうわけでもないのですが、日本が必ずしも国力や資源、人口、政治力に飲み込まれない毅然とした立場に立つことが重要ではないかと思い続けています。私はこれぞ真の保守ではないかと考えています。
私は他国に委ねなくてはいけない状況こそが一番ぶれやすいと思っています。特にアメリカは2年後に誰を次期大統領として選ぶか全く想定できません。ましてや大統領が誰になるにせよ、トランプ氏より強硬な人が選ばれるとも思えないのです。その度に日本が振り回されるのを見ているのが私にはつらく思えるのです。保守の在り方を考える時期にあるのだと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年9月28日の記事より転載させていただきました。






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