ウクライナ戦争に勝者はいるのだろうか?

ウクライナで戦費調達が難しくなってきているという報道があります。2026年末で4.3兆円規模の不足が見込まれています。ウクライナは今後、この戦争をどう乗り越えて行けるのでしょうか?

ゼレンスキー大統領、ワシントンでトランプ米大統領と会見 ウクライナ大統領府公式サイトから 2026年7月

戦費調達で思い出すのが日露戦争前の日本。その戦費は当時の国家予算の4-5倍とされ、その調達で活躍したのが高橋是清。ロンドンで日本の国債を売りにいくも苦戦しますが、ユダヤ系資本がそこに援助の手を差し伸べ、資金調達に成功した高橋は日本に英雄的な帰国となります。当時でさえ戦争は戦費が勝敗を左右するほど金がかかる話でした。

現在ウクライナの国家予算の歳入は680億㌦規模。これに対して歳出は1100億㌦でうち戦費が6割を占めています。平たく言えば年間の国家予算以上に戦費を費やし、残りの国家運営費用はIMF、世銀、EUやG7からの資金援助により成り立っています。

人口については減少が続いており、登記上の人口は約4000万人とされますが、国外に退避している女性や子供が670万人程度、また東部ウクライナに在住するロシア系住民を差し引くと残りは約3000万人規模になります。GDPは2200億㌦規模であります。ただ、工業や農業に滞りが見られ、その輸出基地などが戦争で破壊されている状況にあります。

ゼレンスキー氏は日本にもその継続的支援を要請しています。ちなみに日本はウクライナへの資金援助という点では世界でもトップクラスで200億㌦(3.1兆円)の支援をしています。このお金はウクライナが歳入の6割を戦費に使うことで他の予算が廻らなくなるのでそちらで使うために支援をしているものです。つまり戦費はウクライナが支出することでそれによって生じる国内の資金を賄うという発想で日本は戦費を拠出しているのではないということです。

戦争をどの角度から見るかによって絵図も見方も考え方も変わってきます。戦争を始める理由は様々ですが、その戦争遂行能力を予見するのは極めて難しく、長引けば兵員の確保、武器弾薬の確保、及び資金的負担に耐えられるかが一つの物差しになります。

戦国時代、豊臣秀吉が城を落とすのに水攻めを行い、その後の国内の戦いでもしばしばその戦法や兵糧攻めが活用されています。これは城を一つの国と例えるならそこに籠城してどれだけ耐えられるか、という一種の経済戦争とも言えます。が、時として耐える側はその限界を超え、飢餓との闘いになり、むごたらしい結果となることも多かったようです。

ウクライナは幸いにして西側諸国が武器から資金まで援助するスキームがあるので戦いが継続できていますが、その資金もタダでくれたわけじゃなく、その戦費は何らかの形で返済されなくてはいけません。ということはこの戦争がいつか終わった時、残るのは莫大な金額の借金であり、その返済のために政府は増税をし、国内経済は疲弊しきってしまいます。そのために多くの国民が戦後に他国への移住を選択せざるを得ないことも考えられ、ウクライナ国家はより空洞化が進む悪循環に陥ってしまいます。

つまりゼレンスキー氏の聖戦は結果として国家を疲弊させるだけで仮に先々ロシアと一定の合意が出来たとしても、振り返るとそこには荒地と莫大な債務の山だけが残ることになってしまうのです。故に私は戦争に勝者はいないといつも思っており、その負け方は時間軸と共に加速度的に悪化していくのであります。

分かりやすい例を一つ掲げましょう。皆さんが民事裁判に巻き込まれたとします。訴える、訴えられたという話です。当然そこには強い感情が出ますので「徹底的に戦ってやる」と思うでしょう。そして第1ラウンドの地裁では諦めきれず、高裁、最高裁とまで戦えば10年という年月がかかることは珍しくなく、そこに行くまでの弁護士代は時として天文学的になります。私もかつて5度ほどビジネス訴訟で戦い、全勝していますが、私や弁護士がすごかったのではなく、勝てる戦いしかしなかったのです。なぜなら勝訴しても自分が得られる果実は要求通りにならず、弁護士代がはるかにそれを上回り、「やればやるほど赤字」になるのを体得しているからなのです。

戦争には正義感が伴います。よって今のウクライナ支援は日本を含む西側諸国からすれば「当然」でありますが、私が支援すべきは戦後の復興が本質的に重要なことだと考えています。

ウクライナを取り巻く国際世論はどうあるべきでしょうか?これは推し活ではないのです。自分がリングに上がらないけどファイトマネーはふんだんにあり、周りの観客席で応援をすることが正しいのか私にはいまだによくわからないのであります。

本件、戦争の初期から世論の見方や声にしっくり来ていないのは私の独特の感性だからだけではないと思っています。世論の本音がどこかに隠れているようにしか思えないのであります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年9月29日の記事より転載させていただきました。

アバター画像
会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント