黒坂岳央です。
筆者は基本的に「失敗しても何度でもやり直せばいい」と思っている。受検や就職、転職に起業。自分は人生で何度も失敗してきたが、やり直せば大したことはない。だから基本的には失敗については楽観的な方だ。
だが人生にはたった一回のミスで詰むほどの大きな穴がある。どれほどお金を積んでも心を入れ替えても二度とやり直せないミスは絶対にやってはいけない。その差は能力ではなく「知っているか知らないか」という小さなラインだ。
自分の大切な人にはこの4つに気をつけるよう、積極的に啓蒙している。持論を述べたい。

Khosrork/iStock
1.銀行口座を売る
SNSには「使っていない口座を買い取ります」という募集が溢れている。ちょっと口座を作って売るだけで数万円、「それなら」と考える若者は少なくない。
しかし、これは「振り込め詐欺口座」「マネーロンダリング」など犯罪に使われてしまう。そうなると売った側が罪に問われる。恐ろしいことに小さな出来心で口座を売ると人生が丸ごとダメになる大打撃となる。単に罰金刑を食らうといった生易しいものではない。
売った口座が詐欺の振込先に使われれば、将来の新規口座開設を断られたりするおそれがあるからだ。「銀行口座が作れない」これは想像を絶する恐ろしさである。給与振込、家賃や公共料金の引落し、クレジットカード、証券口座が使えないということを意味する。そうなると給与手渡し以外の場所など極端に働ける場所が制限されるし、投資も出来なければ住む場所も制限される。
現代の生活は銀行口座を持っていることを前提に設計されているので、口座が持てないということは「過去に犯罪を犯したワケアリ人材」という認識を持たされても不思議ではない。
金融ブラックリストは警察の時効とは連動していない。「数年我慢すればまた元通り」とはならない可能性もある。やったら一発でアウトだ。
2. 新卒カードを適当に切る
現時点の日本において、若者が持っている最強クラスの武器が「新卒カード」である。
何がすごいかというと、まだ何の実績もない22歳が、自分の現在の実力より遥かに上の会社に入れる可能性があることだ。これは考えてみれば「異常」といえるような制度だ。
社会人経験ゼロ、実績ゼロ、専門知識もほとんどない。仕事が出来るかも未知数である。そんな若者に大企業が何百万円もの給料を払い、研修まで用意して、先輩がつきっきりで仕事を指導する。
だがこのカードの価値を学生本人はなかなか実感できない。「やってもらって当たり前」と思うからだ。会社とはそういう場所であり、自分たちはお客様で「どの会社で働いてあげようかな」くらいに考える人も少なくない。彼らはまだ社会人経験がないからそれが分からないのである。
そのため、「就活めんどくさいし、とりあえずフリーターでいいか」「やりたいこともないし、楽そうな会社でいいや」こうして軽い気持ちで最強カードを早々に出してしまう。
だが、新卒カードは人生で一度しか使えない。新卒で入れるような会社に転職という実力で入ろうとするのは茨の道だ。難易度がケタ違いに高くなるからだ。
そしてもう1つ、それは最初に働く会社で「働き方が固定化される」のだ。これが無視できない大きさになる。
「三つ子の魂百まで」という言葉があるが、「新卒の魂百まで」という言葉もあると思っている。まっとうな会社で働けば先輩や上司にサポートしてもらいながら、結果を出す働き方を教われる。責任を持つというワークスタイルも学べる。だが、そうした地盤が整わない会社で手を抜く働き方を覚えたら「仕事はこんなもんか」といい加減になる。
だが、新卒カード後は完全実力勝負になるため、適当に働くような人はもうそれ以上、上へ行くことは出来ない。それで所得もキャリアも固定化される。最初にどこで働くか?この1社目でその人のキャリアは大体決まってしまう。
3. 子どもを先送り
これはかなり残酷な話で書くかどうか迷ったが、言わないと「人生詰み要素」として提言の意味がないので書く。
ズバリ、子供を持つなら1日も早い方が良い。この判断を遅らせて後悔している人を自分は山ほど、誇張無しで文字通り山ほど人生で見てきたからだ。
他の記事で書いてきたことは「お金に色なんてないのだから優先順位は高くなくていい」ということである。筆者は30歳になった時点でほとんどお金を持っていなかったが、起業して遅れを取り戻した。お金はないならないで、それにあわせた生活をすればいいだけなので世間で言われてるほどクリティカルな問題ではない。
だが、若さだけは絶対に買い戻せない。こと出産となるとこれは非常に残酷な意味を持つ。資産100億あろうがフォロワーが100万人いようが無理なものは無理で、自分の子供を持ちたいなら年齢は決定的な壁になる。
自分の数多く見てきた事例では「仕事が落ち着いてから」「もう少しお金を貯めてから」で妊娠時期を遅らせて悔やんでも悔やみきれないカップルを見てきたのだ。生殖能力は本人の人生設計を一切待たない。
時折、芸能ニュースで「40代で出産できた」という記事を見るが、あれは人を誤解させる大きなミスリードだと思っている。不妊治療に悩むカップルは35歳で体外受精にチャレンジし、1000万円以上5年かけても失敗し続け、断念という人は本当にいる。
不妊外来にいけば分かる。社会的にはまだまだ若い人が何時間も呼ばれるのを待っている風景がある。時には涙を流しながらドアから出てくるカップルもいる。「今回はダメでした」と告げられたのだろう。Yahooニュースでの華々しい高齢出産話は「例外」であり、不妊外来の風景こそが「現実」だ。
そして不妊治療には「お金を払えば何とかなる」というイメージもあるがこれ大間違いだ。確かにお金を積めば治療を受けることはできるが妊娠しても出産に至らず苦しんでいる人はたくさんいる。人生には「お金で解決できない問題」があるのだが、まさにこれだ。
筆者が怖いと思うのは、子どもが欲しいと思っているのに「その気になれば40歳でも何とかなるだろう」と、正しい知識を持たないまま時間を使ってしまうことである。お金では何とも出来ない問題と考え、少しでも気になるなら早いほうがいい。
4.デジタルタトゥー
最後はデジタルタトゥーである。
昔なら、若い頃にバカなことをしても「その場」だけで終わった。友達と悪ふざけして叱られたり、極論警察に逮捕されても大事件などでないなら自然に風化する。筆者は育ちが悪く、治安が悪い学校だったこともあり、同級生で逮捕されている人はちょこちょこいるのだが、彼らの名前を検索しても逮捕ニュースは出てこない。完全に風化されてしまった。
だが今は時代が違う。スマホ一台で、その瞬間を永久保存できてしまうのだ。自ら悪ふざけ動画をTikTokにアップしたり、SNSで実名のまま暴言を吐くと一発アウト。本人が翌朝後悔して削除しても、もう遅いのだ。誰か一人でもスクリーンショットを撮っていれば終わりである。
SNSに転載され、まとめられ、一瞬で地球の裏側にまで広がる。そうなればもう回収は不可能だ。そして本当に恐ろしいのは、その場で炎上することではない。この炎上が5年後、10年後に突然帰ってくる。
それは就職や結婚などのタイミングだ。人生がうまくいき始めたタイミングで名前を検索され、「この人、昔こんなことやってたよ」と掘り返される。特に最近は婚活でも相手の名前を検索する調査は普通の行動のようだ。こうなれば過去の自分が未来の自分を攻撃してくる状態になる。
取り返しがつかないミスはネット上にタトゥーを彫り込んでしまうことだ。
◇
筆者が言いたいのはやり直せる失敗なら、むしろどんどんすればいいと思っている。人生の大半の失敗は、本人が思っているほど大したことではない。
本当に怖いのは、努力しても、お金を積んでも、反省しても、時間を巻き戻してもらえない失敗である。こうした失敗は「次は気をつけよう」が通用しにくい。
何度でもやり直せる失敗と、一度踏んだら元の場所には戻れない失敗を区別することが極めて重要なのだ。知らずにやれば一発アウト、人生は想像以上にあっさりと終わってしまうものなのだ。
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