
横浜市長選挙、福岡市長選挙、いずれもたくさんの候補者が乱立する事態となっている。
2つの驚きがある。第一は、山中竹春氏が横浜市長選に出馬することだ。
- 威圧的な行為:市長室で職員を怒鳴る、感情を露わにして机を叩く、書類を机へ投げつける
- 「切腹」発言:担当だった前人事部長に聞こえる形で「誘致できなかったら切腹だ」と発言
- 銃撃を示すポーズ:「裏切ったらこれだからな」と言いながら、手で銃を向けるような動作
- 侮辱・人格否定:「ポンコツ」「ダチョウ」「スペックが低い」「人間のクズ」等の発言
- 時間外連絡等:緊急性がないにもかかわらず深夜・休日を問わず業務連絡を常態化させ、私用メールアドレスへの送付を要求
- 市長室への出入り禁止:特定幹部に対して対面説明を認めず、実質的に市長室への出入りを禁止
- 人事権を背景とする圧迫:「飛ばす」「粛清」など、人事上の不利益を想起させる発言を通じて職員を心理的に支配
人事部長の実名告発を契機に第三者調査が行われ、市長の複数の言動が「決して看過できない重大なパワーハラスメント」に当たると認定された。いじめ、排除、職員を無視するなどなど。まったくもってリーダーにふさわしくないという結果である。
ハラスメントは人権問題でもある。重大な人権侵害でもある。さらにいうと、組織マネジメントの点で多大なコストを払ったわけだ(以下図参考)。

筆者作成
そもそもハラスメント防止を啓発する行政のトップがこれである。

筆者作成
再度トップを目指す?? これには驚きである。そもそも職員一人一人に謝罪したのだろうか。
佐々木氏への市民の反発
そして、もっと驚いたのが福岡市長候補の佐々木彩乃氏への世間の厳しい目だ。
確かにキラキラのエリートである。九州大学法学部、香港大学留学、中国・清華大学シュワルツマン・スカラーズ修了(修士課程)、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、一般社団法人カタリスト九州代表理事という経歴。
学生会議に参加したり、行動的な女性を何人も見てきた経験談で言うと、学生としての、若者としての実績はすごいし、英語を駆使して世界の課題を議論して、そこではリーダーシップを発揮できていたのだろう。
麻生グループをはじめ、高島前市長などから協力を得るのだから、コミュニケーションも行動力もさすがである。しかし、世間は猛反発。
その巧みすぎるプレゼンテーションと喋り方の一方で、中国との関係、有力なバックとの関係などについては歯切れが悪い。さらに、ネット上の虚偽情報に対して法的措置を取るという強気な姿勢が市民の不信感を高めてしまったのだろう。
市長は、社会人としての実績が相当求められる。市民生活に直結するし、非常に強い権限を持っていて「大統領」と言われるくらい。職員数も18,000人を超える「大企業」みたいな組織である。首長や組織のリーダーとして必要な能力・スキルや人間性はそれなりのものが求められる。机上の空論を振りかざすだけで他人は動かない。人間的修養と多様な経験が必要なポジションでもある。それにふさわしいかは、市民が判断するのだろう。
市長を正しく選ぶために、主権者は何をしていくべきか。3つの方法がある。
方法①:市長候補と誓約
第一に、市長候補に政策目標を約束させることである。いくつかの団体はアンケートを候補に送り、その回答を公開していたりもする。もしそこに自分の興味関心テーマがなければ、自分たちの主義信条がある団体を作り、候補に問い合わせて、合意か約束をすることをお勧めしたい。
長年、設立者であり会長の内山優さんを中心に草の根で熱心に活動している日本税制改革協議会(JTR、Japanese for Tax Reform)は、政治家やその候補者に「いかなる増税にも反対する」と書かれた「納税者保護誓書」に立会証人をつけて署名することとともに、増税反対を自分の政策の中心に据え、立場を明確にするよう求めている。
「首長とその候補者は ⇒ 『子供にツケをまわしません。』この約束を守るため均衡財政を4年間で実現します。増税はいたしません」という内容だ。

(参考)JTR「納税者保護誓書」
こうした団体が増えれば増えるほどいい。
方法②:推薦・応援する人たちがリーダーシップ能力を保証
また、候補を推薦した組織・団体は名称を公開し、同時に、推薦した人たちがその候補を推薦する理由を明確にして、品質保証をするべきだろう。
「この人は人間的に問題がない」という証明をするべきなのだ。いわゆる「リファレンスチェック」である。「リファレンスチェック」とは、企業が採用応募者の仕事ぶりや人柄、実績などを確認するため、前職や現職の上司・同僚といった第三者に話を聞く調査のことを言う。内外への説明責任として当然のことだろう。
山中さんは、28歳から32歳の間は研究員として生きていたが、35歳ごろになって国立病院機構九州がんセンター室長となり、データの分析や新薬開発を裏付ける「データサイエンスの専門家」として重要なプロジェクトを牽引する優秀なリーダーだったそう。
しかし、研究部門の統括でしかない。横浜市立大学では教授でしかない。研究者やサポート事務スタッフのマネジメントはできても、46,000人の職員のトップマネジメントとしては経験不足だったと言えよう。
方法③:市長に人事評価を
第三に、市長にも人事評価、特に360度の評価が必要だ。
筆者は長年主張していることだが、なかなか理解してもらえない。トップが人事評価を受けないというのは普通のことだが、公的立場は別だ。主権者は国民であり、市民であるから、リーダーが人事評価を受けて何が悪いのだろうか。それが360度評価ならとてもいい。部下からもトップとしてふさわしいか、リーダーシップがあるのか、評価される。
そうした組織は、行政が理想とする公平公正な組織であるし、ハラスメントのリスクや公益通報数も減少するだろう。

リーダー人事評価
筆者作成
最後は主権者の見る目!
筆者も他人を見る目を養ってきているが、いまだに騙されることもある。人は奥深い生き物なのだ。SNSに力を入れれば、愛嬌のある一コマ、ギャップ萌え、迫真の演技などなど、候補者陣営はいかようにも印象操作をしてくるので気を付ける必要がある。
その人がなぜ市長になりたいのか?
市長になって何を実現・成し遂げたいのか? 市民にどういった状態になってもらいたいのか?
どのようにそれを実現していくのか?
どの程度リーダーシップを発揮できるか? どういったマネジメントスタイルなのか?
言行一致しているか?
どういった組織・団体から支援を得ているか?
支持者以外にも公平公正に奉仕できるのか?
どういった価値観なのか?
こうしたことは問われないといけない。
偉くなりたい、上昇志向だけ、の人はいらない。国民や市民の代理人であり、奉仕するリーダーを選ぼうではないか。







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