黒坂岳央です。
「令和は格差社会だ」と言われる。経済データを見る限り、それ自体は間違ってはいない。r>gの拡大はまったく止まらず、株や不動産を大量に持つ富裕層と、金融資産をほとんど持たない人との差は広がっていることは明らかだ。
しかし、こと庶民の格差について言えば格差は非常に狭まった。別の言い方をすると中間層が消え、富裕層とそれ以外と広がったという見方になるかもしれない。
筆者は昭和、平成と生きてきて庶民についていえば、昔の方が決定的な格差だったと思っている。そのため令和をそこまで絶望的に考える必要はないと思っている。

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お金がないと何も出来ない昭和や平成
今の時代、「お金がないから旅行にもいけない」と嘆く人がいる。だが、昔は旅行どころか一切の娯楽が出来ない時代だった。
ゲームや映画、音楽を楽しみたければゲーム機、レンタルビデオ、CDなど個別に購入が必要な時代である。そのため、音楽選び1つも慎重を極め、「間違えば数千円飛ぶ」という時代だった。インターネットも利用時間を気にしながら楽しむしかなかったのである。
そして勉強はもっと露骨で分かりやすい。教育はどれだけ意欲があろうとも、お金がないと学べない。いい塾、家庭教師、英会話スクールには金がかかった。特に英会話やネイティブ音声についていえば、触れるだけで莫大なコストがかかった。「英会話はお金持ちの貴族の趣味」のような時代だったのだ。
昭和・平成は「お金がないから学べない」という物理的な壁が今よりはるかに高かった。どれだけ意欲があろうともお金がないと一切何も触れられない。これは令和とはケタ違いの格差と言える。
インターネットが格差を破壊
インターネットは情報格差を破壊した。かつて金を払って買っていた情報や娯楽の多くが、無料または月数千円で大量に利用できるようになったのである。大富豪でも日雇い非正規雇用者でも映画などの娯楽は全く同じで差はない。
もちろん、所得の差はあるだろう。だが、収入が100倍あっても映画が100倍面白くなるわけでもないし、インターネットの体感速度が100倍になるわけでもない。
娯楽だけでなく、教育の格差も破壊した。英会話は月数千円で話し放題、YouTubeなら無料でネイティブ英語に無限に触れられる。分かりやすい授業をYouTuberが解説しており、問題も回答も無料だ。
インターネットは教育も娯楽も破壊した。もちろん、今でもお金で買う要素はゼロではないが、「触れるにはお金がいる」という時代から比べれば決定的ではない。
そして生成AIはさらに一歩進み、専門家も破壊しつつある。
以前なら人間に頼むしかなかった仕事の一部を、月数千円程度で利用できる。筆者はプログラミングについて知識はほとんどなかったが、仕事で必要なコーディングをAIで出来る。かつて金持ちは人間を雇ったが令和の庶民はAIを雇えるのだ。これは相当に大きな変化である。
令和に残るのは「意欲格差」
そして筆者は、これから重要になるのは「意欲格差」だと思っている。意欲とは簡単にいえばやる気や熱量であり、これが人生を決定づける。
誰もがスマホを持ち、インターネットやAIを使える今、何をするかが人生を決める。ある人は積極的にで毎日英語を学び、プログラミングを覚え、仕事の生産性を上げるだろうし、もう一方は一生ショート動画とSNSで時間を溶かす。
両者が持っている道具に大差はない。高級スマホでも格安スマホでもやれることはほとんど同じだ。違うのは使い方である。
昭和・平成は、「お金がないからできない」だったが令和は、「誰でも出来るが、やるかどうかは本人次第」という時代になっている。
つまり、昭和や平成の格差社会は形を変えて格差の場所が変わったといえる。
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今の時代でも「お金持ちは有利だ」などという人がいる。昔はそのお金で人的資本への投資で格差がつくこと、体験格差がつくことを言われていた。だが今の時代はr>gのことだけを指摘する言葉になっている。
何か新しいことにチャレンジするのにお金がいらない時代になっている。これ自体は歓迎することだ。問題は現代があまりにも恵まれ過ぎているということに気づける人が多くないという点にあるのだ。
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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)







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