10月4日に閉幕した愛知・名古屋アジア大会をめぐり、愛知県の大村秀章知事の発言が波紋を広げている。発端は、新競技「テックボール」に出場したタイ代表チームの関係者が、競技会場の食事の量や内容に不満を示す動画をSNSに投稿したことだった。
大村知事は6日の記者会見で「何しに来たんだ」「再生回数稼ぎか」と不快感を表明し、「こういう人には来てほしくなかった」と発言。タイのメディアでも報じられ、「傲慢だ」「おもてなしがない」などの批判が広がっている。

TBS NEWS DIG より
【参照リンク】愛知県・大村知事「来てほしくなかった」発言を釈明 アジア大会めぐりタイ国内でも波紋… 「不満もらした個人への発言」言い回しも修正 TBS NEWS DIG
食事への不満が国際問題に
タイ代表のレワット・パープチョンプー監督は、提供された昼食について、量が少なく、野菜も自由に選べない様子をSNSに投稿した。

タイと日本で話題になった動画 Teqball Thailand Inside より
ただし、問題の食事は大会組織委員会が提供したものではない。テックボールは直前に追加された競技で、食事の提供は競技団体側が担当していた。
大村知事が誤解を訂正しようとしたことは理解できる。しかし、食事の提供責任と、参加者が不満を表明することの是非は別問題だ。
「来てほしくなかった」は誰に向けた言葉か
大村知事は7日、自身のXで「来てほしくなかった」という発言はタイ代表チーム全体ではなく、投稿した監督やコーチを念頭に置いたものだと説明し、報道の訂正を求めた。
昨日の記者会見において、私から、タイチームに対して、「来てほしくなかった」と発言したように誤解される新聞報道がありました。
昨日の会見において、私からは、正確には「テックボールのお昼の会場のそばの、お昼のあれでこんな料理しかないとか言われ、ちょっとひどいねと。いくらなんでもねと。タイの選手団の監督、コーチは、この人達は何しに来たんだろうなと。こうやって再生回数を稼ぎに来たのというふうに私はその時思った。」と申し上げた上で、「あんまりこういう人は来てほしくなかったなと思った、その時は。ただ組織委員会の外の話なんで、我々は関知できないのでということであった」と申し上げており、タイチームに対して「来てほしくなかった」という趣旨の発言はしておりません。
事実関係に反する記述が見られる記事について、厳重に抗議し、訂正を求めました。— 大村秀章 (@ohmura_hideaki) October 7, 2026
確かにチーム全体と特定の関係者では意味が異なる。しかし、対象を限定しても、開催地のトップが参加者に「来てほしくなかった」と発言した事実は変わらない。
投稿に誤解を招く部分があったなら、「食事は競技団体が提供した」と説明すれば済む話だ。「再生回数稼ぎ」と相手の動機を決めつける必要はない。
自称「おもてなし」の国で起きた皮肉
今回の騒動はタイのメディアでも取り上げられ、日本の「おもてなし」に疑問を投げかける声が広がった。
もちろん、タイ側の投稿にも検証すべき点はある。競技団体が提供した食事を、大会全体の問題と誤解させたのであれば、正確な情報を伝える必要がある。
しかし、開催地のトップには一般のSNS利用者とは異なる慎重さが求められる。
「釈明」では収まらないトップの責任
大村知事は8日、「ああいうことは言ってほしくなかった」と言い換える考えを示し、タイ選手団自体は歓迎していると強調した。しかし、言い換えただけで広がった批判が解消するわけではない。
今回問われているのは食事の内容よりも、参加者の批判に大会責任者がどう対応するかという問題だ。
事実関係を冷静に説明すればよいところを、相手の来訪を否定するような発言で国際的な反発を招いた。大会が無事に閉幕した後、開催地トップの言葉が新たな問題になったのは、日本人として何とも悲しい話である。







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