金融庁は10月9日、プルデンシャル生命保険とジブラルタ生命保険に対し、保険募集などの業務停止命令を出しました。期間は2027年1月31日までの約3カ月半です。
プルデンシャル生命では、営業社員らによる不適切な金銭授受が61億円を超え、157人が処分されました。高額報酬を目指す成果主義の営業文化が、不正の温床になっていたことが指摘されています。

プルデンシャル生命HPより
「プルゴリ」が失った覇気
日本経済新聞は10月14日付の記事で、プルデンシャル生命の営業部隊を「ゴリラ」と表現し、新規販売停止によって営業社員たちが覇気を失っている現状を報じました。
「プルゴリ」営業部隊が覇気を失ったという。だがその覇気は一体何のため、誰のためだったのか。顧客のためか、自らの報酬のためか。保険事業の目的は、営業社員の報酬を最大化することではない。顧客の人生に寄り添い安心と信頼を大切にすることが保険事業の本質ではないか。 https://t.co/RoLYPjuK2T
— 朝倉智也(Tomoya Asakura) (@tomoyaasakura) October 13, 2026
【参照リンク】プルデンシャル、覇気なくす「ゴリラ」部隊 転職難しく座学1年 日本経済新聞
同社の営業社員は「ライフプランナー」と呼ばれ、強烈な営業力と高額報酬で知られています。その猛烈な営業スタイルから「プルゴリ」という俗称も生まれました。
“社名とマッチョな風貌やゴリ推し営業を掛け合わせた「プルゴリ」の俗称までSNSで生まれた。ある金融庁幹部は「理由は一つでないにせよ、プルゴリの登場は会社が成果主義に傾いていった時代と重なる」と認める”
日経がプルゴリを取り上げる→ほう
金融庁幹部がプルゴリを発音した→?!— Shen (@shenmacro) October 13, 2026
営業成績によって報酬が大きく変わる仕組みは、社員の競争心を刺激し、同社の成長を支えてきました。しかし、販売停止によって営業活動ができなくなれば、収入も意欲も低下します。
ただし、ここで疑問が生じます。
その「覇気」は、そもそも何のため、誰のために発揮されていたのでしょうか。顧客のためでしょうか。それとも自分の報酬のためでしょうか。
顧客より営業成績が優先されたのか
もちろん、営業社員の全員が不正に関与していたわけではありません。顧客に真摯に向き合い、適切な保障を提供してきた社員もいるはずです。
高い営業成績に対して高額報酬を支払うこと自体も問題ではありません。
しかし、営業社員の報酬を最大化することが目的となれば、顧客の利益は後回しになりかねません。必要以上の保険を勧めたり、営業成績のために無理な契約を獲得したりする誘惑が生まれます。
金融庁も、経営陣が成績優秀な営業社員の意向に過度に配慮し、管理体制の見直しを先送りしてきた問題を指摘しています。
保険会社の本当の仕事とは
生命保険は、一般の商品とは異なります。顧客は病気や事故、家族の死といった人生の困難に備え、何十年にもわたって保険料を払い続けます。
営業社員が契約を獲得した瞬間に仕事が終わるのではありません。そこから顧客との長い関係が始まるのです。
保険事業の目的は、営業社員の報酬を最大化することではありません。顧客の人生に寄り添い、人生におけるイベントリスクに対する安心と信頼を提供することこそが保険事業の本質ではないでしょうか。
取り戻すべきは覇気より信頼
プルデンシャル生命は報酬制度の見直しを進めていますが、それだけで企業文化が変わるとは限りません。営業社員を契約件数や売上高だけで評価するのではなく、顧客の利益をどれだけ守ったかという視点が必要です。
本当に優れた営業社員とは、顧客に多くの保険を売る人ではなく、必要のない保険は勧めず、ときには契約を断ることもできる人でしょう。「プルゴリ」が失った覇気を嘆く前に、顧客が失った信頼を取り戻すことが先決です。
ちなみに、ゴリラは基本的には温和で平和的な性格の動物です。映画やフィクションで描かれるように、人間を好んで襲う凶暴な動物ではありません。威嚇行動を見せることはありますが、通常は争いを避けようとします。
本物のゴリラにとっては、猛烈な営業競争や金銭不祥事の象徴にされるのは、少々迷惑な話かもしれません。







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