テスラの「空飛ぶロードスター」に賛否両論:実用化の第一歩か「見世物」か

米テスラが10月15日に披露した新型「ロードスター」が話題を呼んでいる。テキサス州のスペースX施設で行われた実演では、車が特殊な路面を駆け上がり、空中へ飛び出した後、噴射装置で姿勢を制御して着地した。映像は確かにSF映画のようだが、これを実用的な「空飛ぶ車」の誕生と受け止めるのは早い。

「飛ぶ」と「跳ぶ」の距離

今回示されたのは、短時間の空中移動と姿勢制御である。目的地まで空を移動するような、長距離の飛行は披露されていない。「車体が地面を離れた」という事実と、日常の交通手段として使えることの間には大きな隔たりがある。CNN.co.jp

米テックメディアのThe Vergeも、今回の披露を「見せるためのもの」と批判的に評価した。飛行機能を備えるRocket仕様は招待制で、公道走行の承認も得ていないという。技術的に驚かせることと、顧客が使える商品にすることは別問題だ。The Verge

空を飛ばすほど増える難題

そもそも、自動車と航空機では設計上の要求が異なる。CNNの取材に対し、スミソニアン国立航空宇宙博物館の専門家は、軽量化が重要な航空機と、バンパーや衝撃吸収構造が必要な自動車を組み合わせれば、双方の性能を犠牲にし、高額になると指摘した。

一般利用を目指すなら、噴射装置の故障時にどう着地するのか、周囲の人や車への影響をどう抑えるのか、安全を誰がどの基準で認めるのかという説明も必要になる。管理された施設での成功だけでは、こうした疑問への回答にはならない。

次に見せるべきは納車だ

ロードスターは2017年に発表され、当初は2020年の生産開始が予定されていたが、延期が続き、今回示された生産開始目標は2028年となった。ロイターによれば、マスク氏自身も、この車がテスラの財務に与える影響は大きくないとの認識を示している。wsj.com

技術を誇示し、ブランドへの関心を集める車には意味がある。実用性だけで挑戦を切り捨てる必要もないが、顧客が待っているのは空中回転の映像だけではない。

価格、使用条件、そして守られる納期である。「未来」を演出する力を、商品を届ける力につなげられるか。「単なる見世物」という批判を覆す舞台は、次の発表会ではなく、顧客への納車だ。

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