佐倉市議会発言削除事件⑥:「順番の公平性」で説明できるか

(前回:佐倉市議会発言削除事件⑤:議員の発言を削除すると何が失われるのか)

「先ほど日本共産党、木崎議員より反対がございましたので」

これは、私が佐倉市議会で実際に述べた言葉です。直前の議員の反対理由を取り上げ、それに異なる評価を示して、議案への賛成理由を説明しました。

ただし、今回裁判で争っている発言ではありません。令和4年6月27日の討論です。収録した会議録の討論区間には、この応答を理由とする制止や発言取消しの記録はありません。

一方、本年3月24日、同じように先行討論の理由を取り上げた私の発言は、「順番の公平性」を理由に取り消されました。

この違いは、何によって説明できるのでしょうか。

明示的な反論も行われてきた

前回の記事では、発言削除による不利益などを紹介しました。その後、被告である佐倉市から準備書面が提出され、私も今回、準備書面3と追加資料を提出しました。

市の説明の一つは、後順位の議員は先行討論に反論できる一方、先順位の本人には再反論の機会がなく、不公平になるというものです。

一人一回の討論では、確かにその非対称性があります。しかし、佐倉市議会では、先行討論を明示して異論を述べる討論も、実際に行われてきました。

冒頭の令和4年の事例は、地方公共団体の情報システム標準化に関する意見書案の討論です。木崎議員は、自治体の独自施策への影響や個人情報の危険を挙げて反対しました。直後に私は、木崎議員を名指しし、その指摘を二点に整理して異なる評価を述べ、賛成しました。

私以外の例もあります。

平成22年9月22日、議員報酬引下げの早急な実施を求める陳情について、藤崎議員が速やかな条例改正を求めて賛成しました。直後の兒玉議員は、「先ほどの討論でありましたように速やかに引き下げろということで、ここで決着をしていいのか」と述べ、議会内の論議や合意形成を重視して反対しました。

単に別の意見を述べただけでなく、直前の討論を明示し、その判断理由に異論を述べています。この収録区間にも、その応答を理由とする制止・取消しの記録はありません。

もちろん、議題や表現、当時の状況は異なります。過去に取り消されなかったことだけで、今回の措置が直ちに違法になるわけでもありません。

しかし、先行討論への明示的な反論であることと、先順位者が再反論できないことだけでは、取扱いの違いを説明できないのではないでしょうか。

名指ししなければ、公平になるのか

もう一つ、検討したい点があります。

令和3年12月13日、明神橋災害復旧工事について、一定範囲の契約変更を市長の専決処分で行えるようにする議案が審議されました。

私は、変更のたびに臨時会を開けば日程調整等に時間を要し、その間の豪雨で崩落が起きる危険もあるとして賛成しました。

その後、萩原議員は、緊急であっても議会を招集し、執行の妥当性を審議することが議会の役割・責任であるとして反対しました。

ここでは私への名指しや引用はありません。また、私の発言を聞いて原稿を変更したと断定するものでもありません。それでも、迅速な対応と議会審議の関係について、対立する判断理由が順番に示されています。

そして私は、この後続の理由に再反論できません。

では、仮に後続の発言に「先ほど髙橋議員は、臨時会招集による遅れを指摘しましたが」と付け加えられていたら、何が変わるのでしょうか。これは説明のための仮定ですが、政策判断の内容も、私が再反論できない関係も同じです。

本件だけを取り消す理由は何か

私が求めているのは、どんな反論でも無制限に認めることではありません。

問題は、先行討論との関係を明示したことで、どのような支障が生じ、なぜ発言取消しまで必要になるのかという点です。

明示的な応答・反論は、国会や他の地方議会でも行われており、佐倉市議会にも、今回紹介したものを含め複数の事例があります。また、先行討論との関係を明示しなくても、後順位者が対立する理由を述べ、先順位者が再反論できない関係は生じます。

それでも本件を取り消すのであれば、その違いを説明する具体的な理由が必要ではないでしょうか。今回の準備書面では、こうした実例を示して、市の説明との整合性を問い直しました。

そして、順番の公平性を論じるなら、実際に誰がどの順番で討論してきたのかも確認する必要があります。

次回は、今回提出した討論順の調査結果を紹介します。

※ 過去事例の発言内容・議事経過は、提出した甲第34号証(令和4年・平成22年の事例)、甲第31号証(明神橋工事の事例)によります。

・応答・反論の過去事例〔甲34〕:令和4年の事例は3~4頁、平成22年の事例は11~12頁
・明示的な言及を伴わない討論の比較〔甲31〕:明神橋工事の事例は5~7頁

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