『ゴジラ-0.0』でトイレ客が続出し論争に:2時間以上の我慢はマナーなのか

映画の上映中にトイレに立つだけで「マナー違反」と批判される。そんな息苦しい論争が、映画『ゴジラ-0.0』をめぐって巻き起こっています。

上映中に席を立つ観客に対し、「映画を見る前にトイレを済ませておくのが大人の常識ではないか」と不満を漏らす声がSNSで話題になったのです。

確かに、緊迫した場面で目の前を人が横切れば、気分を害する人もいるでしょう。しかし、2時間以上もトイレを我慢することが映画鑑賞のマナーなのでしょうか。

11月3日に公開された『ゴジラ-0.0』は、初日の興行収入が9億1000万円、観客動員数が59万人を突破。実写映画の初日興収として日本歴代1位を記録する大ヒットスタートとなりました。

ところが、怪獣王ゴジラがスクリーンで暴れる一方、客席では思わぬ「トイレ戦争」が勃発しています。

ゴジラ-0.0
公式HPより

上映中のトイレ離席に「感動も台無し」

11月7日付の週刊女性PRIMEによると、上映開始から1時間も経たないうちに、次々とトイレに立つ観客がいたというXの投稿が話題になりました。

上映前にトイレを済ませておくべきだという意見に対し、生理現象なのだから仕方がないという反論もあります。

本作は山崎貴監督による『ゴジラ-1.0』の続編で、神木隆之介や浜辺美波らが出演。上映時間は約135分に及びます。

大迫力の映像を楽しんでいる最中に、何度も人が出入りすれば集中できません。映画に没頭したい観客の不満も理解できます。

ただし、実際にどれほど多くの観客が途中離席しているのか、客観的な統計があるわけではありません。一部の目撃談をもって、映画館全体のマナーが悪化していると決めつけるのも早計でしょう。

映画館は2時間以上の「我慢大会」なのか

そもそも、人間の生理現象は本人の意思だけでコントロールできるものではありません。

上映前にトイレを済ませても、途中で行きたくなることはあります。子どもや高齢者、妊娠中の女性、持病のある人ならなおさらです。

映画館では大きなサイズのドリンクやポップコーンが販売されています。劇場側は飲み物を積極的に売っておきながら、観客には上映終了までトイレを我慢してほしいというのも、考えてみれば奇妙な話です。

もちろん、飲食物の販売と途中離席を控えるマナーは別問題です。しかし、映画館は修行の場ではありません。お金を払って娯楽を楽しむ場所です。

スマートフォンを操作したり、大声で会話したりする行為と、避けられない生理現象を同列に扱うべきではありません。

なぜ映画館は途中休憩を設けないのか

近年は上映時間が3時間前後に及ぶ大作映画もあります。2025年に大ヒットした『国宝』も約3時間の長編でした。

そこで考えたいのが、映画館のビジネスモデルです。

映画館の収益はチケット販売だけではありません。ポップコーンやドリンクなどの売店収入も重要な柱となっています。

一方、上映時間が長くなれば、1つのスクリーンで1日に上映できる回数は減ります。途中休憩を設ければ、さらに回転率が下がる可能性があります。

つまり、劇場側には観客の快適性を高めたい一方で、上映時間をできるだけ効率的に使いたいという事情があります。

しかし、すべての上映で休憩を設ける必要はありません。

例えば、通常上映とは別に「途中休憩付き上映」を1日1回設けることはできないでしょうか。

15分程度の休憩があれば、トイレを済ませたり、追加の飲食物を購入したりできます。高齢者や子ども連れにとっても映画館を利用しやすくなります。

もちろん、作品の演出意図や上映スケジュールとの調整は必要です。それでも、休憩を入れないことを絶対的な常識と考える必要はありません。

観客に我慢を求めるだけでなく、映画館側がサービスを工夫する余地はあるはずです。

他人のトイレまで監視する「マナー警察」

今回の論争で最も気になるのは、映画鑑賞のマナーが、いつの間にか他人を批判するための道具になっていることです。

もちろん、途中離席する際には、できるだけ周囲の視界を遮らないよう配慮すべきです。通路側の席を選ぶなど、本人にもできる工夫はあります。

しかし、他人が何回トイレに立ったかを数え、SNSで非常識だと糾弾することが、本当に映画館の快適さにつながるのでしょうか。

マナーとは本来、他人への思いやりから生まれるものです。それが他人を監視し、裁くための規則になった瞬間、むしろ社会を息苦しくしてしまいます。

トイレに立つ観客よりも、他人のトイレ事情にまで目を光らせる「マナー警察」のほうが、よほど映画館を息苦しくしているのではないでしょうか。

周囲への配慮は必要ですが、他人にもそれぞれ事情があるという想像力も必要です。

ゴジラが暴れるスクリーンの外で、観客同士まで戦う必要はありません。

映画館のマナーとは、誰かを締め出すための規則ではなく、みんなが映画を楽しむための知恵なのです。

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