逆張りの天才みたいな人だが土壇場で梯子を外されてしまったな、と思うのが、我らが亀井静香氏である。
日本の政界がヒラリー一色に染まっている時にあえてトランプ氏との会談を設定した、と聞いた時には、なかなかやるものだ、さすがに勘がいいな、これで再びマスコミの寵児になるな、などと思ったものだが、どうやらトランプ氏の側が一枚上手だったようである。
トランプ返しではないが、手のひらを反すようにして亀井氏との会談をドタキャンしたようである。
トランプ氏本人にどの程度の才覚や見識があるのかまだよく分からないが、トランプ氏に付いている参謀は相当周到で、日本の政治情勢もしっかりフォローしているようである。
今、ここで亀井氏に花を持たせたりポイントを稼がせることには何の得もない、と見切ったのだと思う。
多分自分でも負けを覚悟していたから、遠い日本の、しかも今は大して政治的影響力もないと思われる野党の亀井氏との会談を承諾したのだが、本当にトランプ氏がアメリカの大統領に就任することになったら、日本の総理と会う前に亀井氏と会うことが得か損か、考え直したのだと思う。
何事についても得か損かを計算できる人は、それなりに信頼していい。
まあ、計算高いとか、駆け引きが過ぎるという側面は否めないが、それなりに合理的な考えが出来る人だということになる。
経営者、経済人としてはそれなりに立派な業績を残してきた人だから、頭でっかちになったり、極端に理想主義に走ったり、損得を度外視して正義の戦いを吹聴して回ったりする虞は少ないということだろう。
トランプ氏は、案外、計算も出来、演技も出来る人だな、という印象である。
亀井氏は、日本で最初にトランプ氏とさしで会談した日本の政治家として名を残す絶好のチャンスを失ったのだからさぞガッカリされただろうが、これは仕方がない。
むしろ、トランプ氏なりトランプ氏の陣営の人たちが結構強かで計算が出来る人たちだ、と実証したようなものだから、トランプ氏との会談が実現しなくてもそれなりの成果を挙げてきた、と言っていいのかも知れない。
ドンマイ。
別に意気消沈されなくてもいいんですよ。
トランプ氏との会談の寸前まで行った、というのは、やはり大したもんですよ。
とりあえず、そう申し上げておく。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年11月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。