迫るバレンタイン!思いをはせて素敵なチョコライフを

尾藤 克之
写真:ケンズカフェ東京にて撮影

写真:ケンズカフェ東京にて撮影

来週は男子に嬉しいバレンタインデーです。クリスマスにはクリスマスソングがありますが、バレンタインソングなるものはあまり聞きません。Call Me Maybe (Carly Rae Jepsen)、チョコレイト・ディスコ(perfume)など、最近人気の曲もありますが、40代男子として思い出すのは、バレンタイン・キッス(国生さゆり)ではないでしょうか。

まったくの余談ですが、サビが「~バレンタインデー・キッス」に聞こえます。ところが、曲のタイトルは「バレンタイン・キッス」だったことも、当時は話題になりました。

バレンタインデーの風習は、日本において1960年ごろに確立しましたが、世界各地の“それ”とは異なるカタチで定着してきたことはこれまでも紹介してきました。今回は変遷などをたどってみたいと思います。

■チョコレートの歴史は技術革新

お菓子の「オレオ」「リッツ」などが、昨年9月からヤマザキ・ナビスコからモンデリーズ・ジャパンに引き継がれました。パッケージや製品名はそのままなので、気がついていない人も多いかもしれません。ヤマザキ・ナビスコは1970年に山崎製パンと米ナビスコ、日綿実業(双日)の合弁会社として設立し、ナビスコブランドの製品を開始しました。

その後、子会社化し、ナビスコ傘下の、モンデリーズ・インターナショナルのライセンスを受けながら「オレオ」「リッツ」を製造販売してきました。しかし、昨年のライセンス契約終了により、1970年から46年続いた「ナビスコブランド」は幕を閉じています。

米国モンデリーズは、2010年に英国のチョコレートメーカー、キャドバリーを買収しています。日本法人の日本モンデリーズは、キャドバリー・ジャパンとして1978年に創業しましたが、食品会社同士のM&Aや合従連衡の変遷は目まぐるしいものがあります。『チャーリーとチョコレート工場 』(Charlie and the Chocolate Factory)は、2005年製作のアメリカ映画(ティム・バートン監督)ですが、そのモデルは米国キャドバリーです。

ここでチョコレートの変遷をたどってみましょう。18世紀ごろ流通していたチョコレート飲料(当時はココアという名称ではありません)は、単にカカオをすりつぶしただけなので、溶けにくく飲みにくいという難点がりました。1828年ごろにオランダのヴァン・ホーテン(1770年-1858年)が、カカオマスから油脂を分離する手法を開発しココアパウダーとして売り出します。

ヴァン・ホーテンはココアの代名詞ともなりました。現在はフィリップモリスが経営していますがブランドは保持しています。次にココアに砂糖とココアバターを加えることで、固形チョコレートが開発されます。固形チョコレートの誕生によって、一気に食べるチョコレートが世界中に普及することになります。

ところが、当時の固形チョコレートは攪拌技術が一定でなかったことから、品質が高いとはいえませんでした。その後、攪拌技術が大幅に向上し、均一でなめらかな食感のチョコレートの大量生産可能になりました。米国キャドバリーは、固形チョコレートを大量生産する技術を有しており、その後の市場を席巻します。

1926年、ジョセフ・ドラップスが「ショコラトリー・ドラップス」というチョコレート専門店をベルギーの首都ブリュッセルに設立します。その後、社名を「ゴディバ」に変更します。販売店をベルギーの首都ブリュッセルの中心部に位置する、世界で最も美しいと言われている「グランプラス」で開業し成功を治めます。

「グランプラス」は、1998年に世界遺産にも登録されており、ヴィクトル・ユーゴーが賞賛したことでも有名です。「グランプラス」の成功によって、「ゴディバ」のブランドはゆるぎないものになります。1958年にはパリのサントノーレ通りに販売店を開いて国外進出を果たします。現在は、ベルギー王室の御用達でも有名になりました。

■バレンタインのスイーツを手作りしよう

チョコレートに話が戻ったので、バレンタインデーに話を戻しましょう。バレンタインデーに贈り物をする習慣は、キリスト教国で一般的にみられるものです。チョコレートを贈る習慣は、前述で紹介した、米国キャドバリーがチョコレート専用ギフトを作ったことが始まりとされています。2月14日 のバレンタインデーは「男女が愛を誓う日」。そして、バレンタインーに必要不可欠なものはチョコレートです。

今回は、ケンズカフェ東京(東京・新宿御苑前)の氏家健治シェフ(以下、氏家)に、ガトーショコラのレシピについて伺いました。同店のガトーショコラは、フジテレビ「有吉くんの正直さんぽ」、TBS「ランク王国」、日本テレビ「ヒルナンデス! 」「おしゃれイズム」「嵐にしやがれ」などで紹介されたことがあるので、ご存知の方も多いことでしょう。

「最初に、チョコとバターを溶けやすいよう細かく刻んでください。そのほうが早く作れます。混ぜる際には空気を含ませないことも大切なポイントです。クーベルチュールチョコレートは、60~70%のものが最適です。そして、作り方は大きく6つの工程に分けることができます。」(氏家)

「最初に、チョコレートとバターをボウルに入れます。湯煎をして、混ぜ合わせながら溶かしていきます。グラニュー糖を加え、混ぜ合わせます。このときグラニュー糖は溶けきっていません。湯煎をしたまま溶きほぐした全卵を、こしながら少しずつ加え、混ぜ合わせます。グラニュー糖が溶けきり、ツヤと粘りが出るまで混ぜ合わせれば、ガトーショコラの生地が完成します。」(同)

以降は、クッキングシートを敷いた型に流し込んで、180度に設定したオーブンで20分弱、焼き上げれば完成です。氏家監修の、「シェフごはん」などもあわせて参考に。この時期、日本ではチョコレートが乱れ飛びます。一年間で最も消費が伸びる時期ですが、チョコレートの先人たちに、思いをはせてはいかがでしょうか。

尾藤克之
コラムニスト

<アゴラ研究所からおしらせ>

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