西麻布の中華料理店で出版関係の方たちと食事をしました。大通りから入った閑静な住宅街にあるモダンなお店。個室で3時間飲み放題で、フカヒレやロブスター、北京ダックなど豪華な料理が付いて会計は税込で一人1万円という破格値でした。
ところがこのコース、お店では17600円の定価らしいです。それが、レストラン予約サイトからブッキングすると43%オフになるという不思議な価格体系です。予約サイトに恐らくお店は10%程度のフィーを支払っているでしょうから、お店は17600円の料理を半額の9000円程度で提供していることになります。
このサイトを見ると、他にもたくさんのレストランが、通常価格よりも大幅なディスカウント価格でプランを提供していることがわかります。
お客の立場からすれば、このような割引で食事ができるのはありがたいことです。しかし、お店に直接予約をして定価で食事をする人はどのくらいいるのかと疑問を持ちました。もし、ほとんどの来店者がレストラン予約サイトから割引で予約しているとすれば、お店の定価はほとんど意味がなく、最初から割引価格で提供しているのと変わらないことになるからです。
お店やお店のサイトに掲載されている価格よりも、外部のサイトで安い価格を提示する。割引によるお得感でレストラン予約サイトからの流入は増えるかもしれませんが、長期的にはお店の価格に対する信頼感は低下します。お店で普通に料金を支払っている人が、何らかのきっかけで、このような格安プランを見つけたら、その店の定価に疑問を持つようになるからです。
そう言えば、最近お店でプリントアウトされたクーポンなどを提示して、特別なコースや一品サービスといった特典を受けている人を見かけることが多くなりました。グルメサイトなどでプロモーションの一環としてお店が提供しているのだと思います。これも、普通にお店にやってきた人からすれば、何だか正直者がバカを見るような気分になります。
期間限定のキャンペーンや、初回限定といった来店促進であればともかく、恒常的に割引や特典を乱発しているお店は、顧客間に不平等感が広がっていきます。そして集客の主導権をレストラン紹介サイトに奪われてしまう。自社の集客能力がジワジワと失われ、ロイヤリティの高いお客様を自分の力でグリップできなくなってしいます。
SHINOBY`S BAR 銀座でも外部のサイトから集客をはじめましたが、店内価格より安く提供することだけは、やらないようにしています。
レストラン予約サイトは、使い方を間違えると集客に悩むお店にとって、やめられない麻薬のような存在になってしまうと思います。
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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年2月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。