銀行のトップのことを「頭取」と言います。この言葉、江戸明治期を通じて、銀行に限らず組織の長を意味するためにしばしば使われました。たとえば、明治初期にあった沼津兵学校の初代校長は西周だったんだが、彼は校長ではなく頭取と呼ばれていた。しかし、いつしかこの普通名詞は、銀行の社長のみを指し示すようになります。
ドラマ『半沢直樹』を見ればわかるとおり、銀行における頭取の権力は絶大で一種「天皇」のような絶対的な力を持っています。とりわけ旧財閥系の巨大銀行における頭取になれる人はけっして多くありません。行内の激烈な出世競争を勝ち抜いた一部の人にのみ、この絶対権力が与えられたというわけです。
のちにアサヒビールをスーパードライの大ヒットで起死回生の大逆転で立て直した樋口廣太郎氏は、住友銀行の副頭取でした。1986(昭和61)年、危機に瀕したアサヒビールへ出され、ついに頭取の椅子には座らなかった。しかし「限界企業」とも「ビール業界のお荷物」とも言われていたアサヒビール再建の手腕は高く買われ、のちに経団連副会長や小渕内閣の経済諮問機関の長にも就いています。住友銀行からアサヒビールへの出向は、樋口氏が初めてではありません。同じ副頭取から高橋吉隆氏が、また延命直松氏が社長へ入り、企業再建に取り組みました。
樋口氏のアサヒビール社長への転身は、大学の先輩でもある磯田一郎氏から送り込まれた、という話がもっぱらなんだが、うがった見方をすれば当時のトップが樋口氏の辣腕ぶりを恐れ、外へ出した、とも考えられます。この時代の住友銀行には、平和相互銀行の吸収合併やイトマン事件との絡み、バブルを仕掛けた張本人説など、ちょっと「闇」の部分も少なくない。いまだ謎めいているアサヒビールの再建資金も含め、樋口氏の処遇もこのへんと何か関係があるかもしれません。
いずれにせよ、巨大銀行で頭取の権力は絶大です。その分、周囲は「イエスマン」で固められがち。競争相手を蹴落とした最終勝者なので、そうなってもおかしくありません。反社会勢力への不正融資が問題になっている都銀大手みずほ銀行も頭取はマスメディアの前に姿を現さず、副頭取が責任をひっかぶる形でかばっています。本来なら、コンプライアンスの最終責任者は頭取であるべき。不正融資を感知していたかいなかったかに関わらず、表に出てきて説明を果たすのが「トップ」たる者に求められる社会的な責任なのではないでしょうか。
マネーのプチ情報局~覚えていれば損しない~
みずほ銀行による暴力団組員融資。会見で明らかになった銀行のモラルハザードとは。
マルミミゾウ、密漁で絶滅の危機!象牙の需要があればそれに伴い供給も止まらない!
マックンの気まま日記
米国のヒラリー元国務長官もアフリカ象の密猟に危機感を抱き、3000人規模の密猟取締レンジャーの増援や8000万ドルを使った規制強化策などがあてられるそうです。密猟者の方法は残虐を極める。ゾウがミネラルを求めてやって来る岩塩に毒をまいたり、重機関銃で子どもまで根こそぎ殺します。象牙や漢方薬などの材料にされ、皮が固くなる前に生きたまま、牙を抜かれるゾウたちの死骸がルワンダやタンザニア、コンゴなどで大量に発見されている。特に内戦などで行政の監視が行き届かなくなった地域へ、密猟団が国境を越えてやって来るらしい。マルミミゾウは、小型の亜種でアフリカゾウとは遺伝的に違うようです。
水陸両用!?ワニの心臓はバイパス済みの切替式。
日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ
毎回、興味深い展示企画で楽しませてくれる「日本科学未来館」なんだが、今は「ノーベル賞関連イベント」などをやっています。このブログは、未来館の「科学コミュニケーター」たちが書いているもの。水中と陸上で血流を切り替えることのできるワニの心臓メカニズムについて紹介しています。イリエワニは長い距離、海を渡ることでも知られ、フィリピンからパラオくらいまでなら楽勝だとか。ところで、日本の因幡の白ウサギでウソをつかれたのがワニだったのか、方言でワニと呼ばれていることもあるサメなのか諸説あるようです。折口信夫は、南方系由来の源日本人の記憶にワニが刻まれていたのでは、と考えていたらしい。しかし、動物園のワニ、あれはトコトン動きませんね。
mixiの衰退の原因は、サービスの内容の問題というより、「寿命がきた」だけ
いつか電池がきれるまで
コレは示唆的なブログです。企業にも誕生から急成長期、踊り場、再伸長期、衰退期、そして死、といった生物の一生にも似た段階がある、と言われています。形あるものは必ずいつか壊れ、生きとし生けるものはいつか必ず死にます。「法人」に寿命があるのか、と言えば、永遠の命などありません。ただ、企業が潰れるときには、自然に潰れるのではなく、人が人為的に潰す、というわけです。SNS勃興期に「紹介制」でしか参加できなかったmixi。ネット上の掲示板には「なんとか紹介してください」とか「紹介します」という書き込みが目立ちました。すでに、SNSなんて珍しいものではない。「Facebook疲れ」という言葉があるように、密度の濃いバーチャルな関係性は、むしろ邪魔なものになりつつあります。mixiに限らずFacebookもTwitterもLINEも、いつかは必ず飽きられ、寿命が尽きるんでしょう。
2018年までのF1開催が正式決定。鈴鹿がF1界から愛される理由。
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日本におけるF1の歴史は、富士スピードウェイ(かつてのFISCO)から始まりました。このサーキット、開業当時は最終コーナーに絶壁のようなカーブ、いわゆる「30度バンク」が立ちふさがっていて、事故もけっこうあったようです。1973(昭和48)年と翌年にはレーサーが死亡。この「switch」というブログに詳しいんだが、その後、このバンクは廃止され、周回も右回りに変えられ、バンクは1コーナーの背景になっています。FISCOに限らず、サーキットはどこもアクセスの悪い立地にあります。鈴鹿サーキットも例外じゃない。最寄りの伊勢鉄道稲生駅から歩くと30分くらいかかります。ほかのところよりは、これでもまだまし。レースが開かれているサーキットへ行くと、なぜか祝祭的な気分になります。
アゴラ編集部:石田 雅彦