ギャンブル依存症論議を巡るブラマヨ吉田氏の神対応

田中 紀子

実は、この3日間お笑い芸人さんのブラックマヨネーズの吉田さんと、Twitterでやり取りさせて頂く機会に恵まれました。

皆さんご存知の通り「ブラマヨ」と言えば、2005年のM1覇者。
2016年のM1でナイスアマチュア賞のみ1回戦落ちの私とは大違い、雲の上の売れっ子芸人さんです。

ブラマヨの吉田氏と言えば、ギャンブルがお好きで、どちらかと言えば、人がNGと思うこと、例えば「不倫」などを肯定され、なんでもズケズケおっしゃることで有名で、私もアメトーークなどで拝見し、いつも爆笑しておりました。

当然、あれはTV向けのキャラなのかな?と思っておりましたが、今回のTwitterで、この方本当に正直な方なんじゃなかろうか?と、大変驚き、ある意味その勇気に敬服した次第です。

事の発端は3月31日にIRを受け、ギャンブル依存症対策を推進する、関係閣僚会議が開かれ、パチンコ出玉規制、馬券購入に上限制限などの対策が行われるとの記事が配信されたことに対し、吉田氏が、

だから、まず、ギャンブル依存性って何かを知りたい。
これ、そのうち砂糖禁止とかスマホ禁止とかになってこない?

とツイートされたことを、私が、たまたま発見したので、

ブラマヨ吉田さん、ギャンブル依存症とは、
ギャンブルが自分でやめられなくなる精神疾患です。
ギャンブルを禁止するわけではありません。
依存症になるリスクの高いものなので、なんらかの規制をかけるのは、
どこの国でも行われている対策です。
日本も遅ればせながら、対策が話しあわれ始めた所です。

と返信しましたところ、リツイートして下さったことから始まったのです。

そして、吉田氏は「ギャンブルをやめられなくなるってどういう状態なのか?」という点にとても疑問をお持ちのようでした。ご自身もギャンブルにハマり、借金までされた経験があったそうで、とてもそれを病気と思えない、それはただの甘えではないのか?というご意見なんですよね。
これって、まさに現代の多くの国民が思っておられる心の声じゃないでしょうか。

さらに、「多くのギャンブルファンが楽しく遊んでいるのに、その楽しみが規制されるのは面白くないじゃないか!
こっちが一生懸命やってきたことも考えてくれ!」と、世のギャンブルファンの言葉を代弁されてるんですよね。

しかもですよ、それをギャンブルファンと盛り上がっているのではなく、いくら無名の一市民とはいえ、曲がりなりにもその支援に関わってきている私に、ど直球でぶつけて来られるって、タレントさんだったらなかなか出来なくないでしょうか。だって今のこのご時世、皆さん保身に必死で、TVなんかあたりさわりのないコメントばかりじゃないですか。

皆さん、是非ツイッター検索してご覧になって下さい。
吉田氏の歯に衣着せぬ言い方は、まさに痛快!全く響かない、全く共感がない感じで、とても頭を使うこととなり、面白かったです。

しかもですね、傍から見てると、まるで喧嘩をしているように見えるのに、今回、全然炎上しておりません。
これはひとえに吉田氏が、フォロワーに対して「喧嘩じゃない」等おっしゃって下さっているからなんですね。

一番泣けたのは、ある吉田氏のファンの方に対する返信で、

考え方は違っても丁寧な言葉使いで話してくれる人と
居酒屋みたいな話できるの、かなり良くないかなぁ。

とつぶやかれ、私とのやり取りを擁護して下さっているんです。

これには本当にうなりました。
以前、やはり依存症問題で、ある著名人とバトルになってしまい、こちらは大炎上。
実は、その際様々なサイバー攻撃にあい、警察に相談する羽目にもなったんです。

でも、今回ですよ、90万以上のフォロワーさんがいらっしゃる吉田氏と、真っ向反対意見で、やり取りさせて頂いているのに、終始冷静に返信させて頂けたのは、まさに著名人である吉田氏の配慮のお陰と、心から感謝致しております。

私は、現在でこれほど正直に、周囲の評価を恐れず、「ギャンブル大好き!愛好家の楽しみを奪うな!」と発信できる吉田氏はすごく貴重な存在で、厚労省は今年度のシンポジウムには是非吉田氏をシンポジストとして、登壇させるべきだと思います。そして、依存症側の論客である、松本俊彦先生や、応援団でもある荻上チキさんなんかと、丁々発止のやり取りをして頂きたい!と心から願いました。

今年度のシンポジウムは、登壇者もオーディエンスも、依存症側の理解者ばかりでしたが、それでは意味がありません。これだけ分かり易く、ギャンブルファンを代弁し、さらには言い方は悪いかもしれませんが、
「依存症者=甘えた奴」とかたくなに信じ、しかもそれを堂々と発信できる吉田氏はあっぱれです。

我々、依存症界の人間は、吉田氏が理解してくれるまで、発信し続けるべきだと思いました。

私は、ツイッターでは、短すぎて伝えきれませんでしたが、ある程度の規制をかけることこそ、
末長くギャンブル界を守っていくことになると信じている派です。
人の命を守る規制は、入る前は反発があれど、やってみたらやはりその方がよかった!
と思われることがこの世の常ではないでしょうか?

私が、高校生の時代は、原付などヘルメット着用の必要も有りませんでした。
これはツイッターでどなたかもおっしゃってましたが、昔は、シートベルトだって、義務ではありませんでした。
でも、これら規制が入り、義務付けられ、今では当たり前になった社会は、安全性が高まりました。
「シートベルトやヘルメットの義務があるなら、乗らない!」と言う人はいないのではないでしょうか?

交通事故なら
「事故を起こす奴はごくわずか!規制など必要ない」
とは言われません。
「事故は確かにある。だから何らかの対策をしなくては」
と社会の誰もが考えます。

依存症も病気ということが信じられずとも、社会問題が既に「ある」ことは確かなのです。
交通事故と同じように対策を考えて頂ける社会になることを望んでいます。

最後に、ブラックマヨネーズ吉田様
今回はご対応有難うございました。
いつか吉田様が「ギャンブル依存症対策推進」に納得して頂けるよう、私たち、これからも頑張って参ります。
これからもTVでご活躍を拝見することを楽しみに致しております!


編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2017年4月3日の記事を転載しました(アイキャッチ画像はYouTube吉本興業チャンネルより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。