先日、とある教育のシンポジウムに誘われたので行ってきました。教育の一般論についての話かと思っていましたが、実際には不登校についての話であるとかフリースクールなどの一般的な教育とは違う教育についての話でした。こういった世界の話はほとんど聞いたことがなかったのでかなり刺激的だったのを覚えています。こういった教育のことをオルタナティブ教育と呼ぶのだそうです。
そのシンポジウムに参加して思ったのは「学校に通う効果は一体何なのか?」ということです。もっと簡単にいえば子供はなぜ学校に通わなければならないのでしょうか。
そのシンポジウムでは関西にあるフリースクールを運営している方と話をする機会があり、そこでこんなふうに教えてもらいました。その方曰く、フリースクールを卒業した若者がフリーターとして働いているのだけれども普通にアルバイトとして働けており、職場にも馴染めているのだそうです。たまに「実は学校に行っていない」というと「えー!」と驚かれたり、修学旅行で枕投げをした思い出などが共有できない事はあったりするそうですが。
私は最初、フリースクールに行っている子や家庭内教育だけで育った子供というのは、一般的な学校似通ってきた子どもたちと馴染めないんじゃないか?と考えていました。しかし、現実はそうでもないようです。もちろん中学生くらいの多感な時期には、学校に行っている子どもとの関係は必ずしもスムーズなものではないとも言っていました。しかし、18歳前後になれば「そういう人もいるよね」と、子どもたちはフリースクール出身でも特に違和感なく溶け込めるというのです。
これらの話を聞いて私は学校教育の意義とは何なのか?と感じました。もっと言えば学校の教育に意味はあるのか?とすら思ったほどです。中学高校と学校に通っていない子供がアルバイトとしてしっかり働き、かつ周囲とうまく馴染めているのです。学校教育を受けていようがいまいが、少なくともアルバイトくらいの仕事は十分にできる能力が身についているのです。
第2期教育振興基本計画では「社会を生き抜く力」「未来への飛躍を実現する人材の養成」「学びのセーフティネットの構築」「絆づくりと活力あるコミュニティの形成」という4つの基本的な方向性を掲げています。これらの方向性のうち、学校でしかできないことは学びのセーフティネットの構築くらいのもので、後はすべてフリースクールなどのオルタナティブ教育でも実現が可能な世の中になっていると思います。
もちろん私は学校なんていらないとは思いません。私も小中高大と通って来て一般的な教育を受けてきた人間です。学校でのかけがえのない思い出もたくさんありますし、友人もたくさん出来ました。学んだことも多かったでしょう。しかしそれらの体験を今や学校で行わなければならない、という時代ではなくなったのではないでしょうか。つまり学校教育以外の新しい選択肢が積極的に選ばれてもよい時代になったと思うのです。
よくアゴラでも医師の井上さんが「大学の授業に出るよりも本を読んでいる方が知識がつく」とおっしゃっています。また本だけではなく、動画を使って色々な学習ができるサービスもネットにはたくさんあります。プログラミングも大学の授業も、また小学校・中学校の教科まで教えてもらえるようなものがあります(【最新】無料で学べるWEB動画学習サイト10選)。これらをうまく使えば、学校の授業を受けずとも必要な知識を得ることができる世の中になりました。
働くようになってから同僚ともちゃんと馴染めて仕事もできるし、学校教育で習う学習もネット動画や本などで十分学ぶこともできます。そんな時代に学校に無理やりにでも子供を通わせる必要性はあるのでしょうか?ここで改めて大人は考えるべきでしょう。「なぜ学校に通わなければならないのか」を。