身の周りにあるイノベーション --- 岩瀬 大輔

アゴラ

最近、凄いなと感じた身の周りのイノベーション。

セブンイレブンの行政サービス。

時折、手続きで必要となる住民票の写しなど、行政関連の証明書。意外と、取りに行くのが面倒じゃないですか。

これがセブンイレブンのコピー機で簡単に取れるようになった。

これが使ってみたら、画期的だった。


文字にすると画期的な感じがうまく伝わらないのだが、やってみたら分かる。ちょっと面倒で非日常な行政手続が、コンビニエンスストアという日常の中に取り込まれたことは、何とも言えない不思議な感覚で、新しいサービスだとの肌感覚を持つ。区役所 at your fingertips.

まだ使える地域や必要な手続(住基カードの取得が必要など)に色々と制約があるが、いずれは全国に拡がり、もっと便利になることは間違いない。行政サービスの効率化、ひいては行政サービスそのもののあり方の見直しに繋がっていくだろう。

もう一つは、JINSが先駆者となった、PC用メガネ。皆さんもオフィスでありませんか? いつもとは違う同僚の姿をみて、あれ、メガネにしたの?と聞いてみたところ、いや、ブルーライトから眼を守る眼鏡なんです、と応えられたこと。

これ、ビジネスとして考えたときに、凄いイノベーションだ。だって、メガネって、眼が悪い人の商品だったじゃないですか。ちょっとカッコつけたい人のためのサングラスもありましたが、これはファッション。

そこに、視力に問題がない、ほぼすべてのオフィスワーカーが利用しうる眼鏡というものを創ってしまったわけだ。時代環境の変化によって生まれたニーズに応える、まったく新しい市場を創った。しかも、消費者に事前に聞いても、「眼が疲れたときのための目薬が欲しい」くらいは考えられたかもしれないが、「PCで疲れないメガネ」といったアイデアは出てないくるはずもなかっただろう。

昨日、初めてJINSの田中仁社長とお会いしたのだが、新しい市場を創り上げたことには、心から感服した。どうやって思いついたのですかと聞いたところ、自分がPCの前に座っていて目が疲れるのはなぜだろう? と考え、そこから大学と連携してマウスを使った実証実験を行い、ブルーライトと目の疲れの間に因果関係がありそうだ、ということを確認したそうだ。

生命保険の分野でも、似たようなことは考えられるのだろうか?これまで生命保険を必要としなかった人たちが飛びつくような、生命保険が???


編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2014年2月1日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。