初めてハイヒールを履いて分かった「姿勢」の大事さ

新田 哲史

選挙明けリハビリでマーケティングの現場取材をしている私。第2弾は、オムロンヘルスケアとワコールが5日に共同発表した「女姿力(じょしりょく)向上プロジェクト」の記者会見に行ってきました。企業コンテンツの上手な活用法として意外に面白かったのでご紹介しよう。


●「女姿力」って何やねん?
「女姿力」の元ネタは言わずと知れた「女子力」。忘れてたんだけど、2009年の新語・流行語大賞にノミネートしてたんだよね。ドラマ化された「働きマン」を始め、濃い女子キャラを描く漫画家の安野モヨコさんが提唱した言葉で、その定義は大賞のサイトにのっていたので、引用しておくと⇒「『きれいになりたいと願い、行動する力』という意味で使われるが、最近ではその意味はさらに広くなり、女性であることを楽しむ積極性や、女性特有の魅力を高めていく前向きな姿勢を指すようになった」――だそうです。

※発表会では、就活中の女子大生に歩き方指導の実演会も
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その5年後の派生形なのか分からないが、「女姿力」は姿勢を整えることに重点を置いている。オムロン側は、世界初の歩行姿勢計「ウォークスキャン」を、ワコール側は、ビジネス用のパンプス「サクセスウォーク」の売り出しに力を入れており、美しく歩くなど、きれいな姿勢でいることで美しさを引き出す意義を強調。折しも就活シーズン到来ということで、女子大生3人を招いた歩き方指導の実演もあり、面接官の97%が見た目チェックをしているという“恐怖”のアンケート結果でダメ押ししたのには驚いた。

●老舗ならではの豊富なデータ
しかし、単純なアンケート調査だけなら印象論に終わってもおかしくないが、ワコールの老舗としての凄みはそこではない。ちゃーんとした科学的な調査を自社でやっているのだ。一般的にはあまり知られていないが、ワコールは、東京五輪が開催された1964年に社内に「人間科学研究所」を創設。毎年約1,000の人体を計測し、何万という豊富な研究データを保有して商品開発に活用。リンク先を見てもらえば分かるように、歩き方ひとつをとっても「歩幅」「速度」に体型ごとの特徴が出てきていることが綿密に解析されている。

ヒールの高い靴を履くと、体重を後ろにかけづらい分、前傾姿勢になってしまい、いつしかバランスが崩れてしまう。え?なんでお前がそんなことを知っているかのように話しているかって?ええ、やってしまいましたよ。会場には男性記者用に大き目のパンプスを特別に用意してあって、人生で初めてハイヒールの靴を履いちゃいました(汗)女性の皆さんがあのバランスを取るのが難しい靴で、通勤ラッシュに耐えているのは凄いと改めて感じたり。。。って、話がそれたので軌道修正すると、会場にはもう一種類、改良型があり、こちらは随分歩きやすい。担当社員に聞くと、かかとの位置を工夫しており、このあたりも独自研究の成果のようだ。ここらへんは、ぽっと出の後発のメーカーには真似できないコンテンツの厚みでしょうね。

※初めてのハイヒールはバランスを取るのでやっと。貴重な体験でした
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●次は「男姿力」!?
ところで、就活では男子学生も見た目が大事だと思うけどな。「男子力」ならぬ「男姿力」も訴求されるべきではないだろうか。いや学生だけではない。中途採用を受ける社会人はもちろんのこと、日常の営業活動でも同じことだ。

そういえば、私の尊敬するヘッドハンターで、エグゼクティブ層の転職を手掛ける兼本尚昌さんも以前、ブログの中でこう指摘していた。

組織の中で出世する人というのは、『正しい姿勢』・『均整のとれた姿勢・体型の維持』を前提にした立ち居振る舞いから美しく、かつ身にまとっているものにも意識されている。~ 『ヘッドハンター兼本/ビジネスウォッチ』<身だしなみ、について何をまとうか、の前にヘッドハンター想う>より

※歩き方のクセを、鳥のキャラクターに例えて6段階で表示するアプリ(オムロンのサイトより)
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アイフォン画面

猫背気味の私は引用していて、つい背をビシッとした次第。ちなみに発表会で紹介されていたオムロンの「ウォークスキャン」は計測結果を、携帯のアプリで歩き方のクセをキャラクターに例えて表示するユニークな仕掛けになっている。パンプスを履いてへっぴり腰の私は最悪の「ふらふらペンギン」の判定。一番しっかりしている「キラキラフラミンゴ」まで程遠いものでした。とほほ(>_<) 新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ