こんなメチャクチャな選挙ありかよ(都議選結果を受けて)

ども宇佐美です。

さて都議選が終わりましたが、結果はみなさんご存知の通り、都民ファーストの会の大勝、自民党の大敗、公明党の議席保持、共産党の躍進、その他政党の埋没、という結果となりました。私のこの選挙結果を受けての第一印象は「こんなメチャクチャな選挙ありかよ」というものでした。

小池知事は築地市場移転や環状2号線開通の時期/手法、オリンピック期間中の宿泊施設や展示会施設の不足、大会終了後の施設利用、すでに顕在化しつつある介護施設不足、など都政の重要政策に関してなんら具体策を示さず、「築地は守る、豊洲は生かす」、に代表されるような抽象的かつ八方美人な美辞麗句のみを並べて、「東京大改革」、という中身のないイメージを掲げて勝負したわけです。別に従来から選挙において政策はそれほど重要とされていないわけですが、それにしてもこれほど政策論争が無い選挙というのは稀有でしょう。

普通ならばこうした知事のあいまいかつ八方美人な姿勢を批判する役割を持つはずのメディアは、都政とは関係ない加計学園問題や豊田議員のパワハラ問題で自民党に猛烈なネガティブキャンペーンをかけるという展開で、「自民党にお灸をすえる」というムードを作り出しました。

そして都議会選挙が終わったら「安倍一強の終わり」という報道をするわけです。
都政の課題はどこにいったんでしょうか?????
理想論がすぎるのかもしれませんが、私は本来法令の特例措置を受けているような大手メディアは、今回の選挙にあたって「国政は国政、都政は都政。都議会議員選挙は東京の未来の課題を都民が知り、誰に未来を委ねるか判断する場です」という報道スタンスをとるべきだったのではないかと思います。それがタブロイド紙と一緒になって、違法性も何もない問題をひたすらに追求し続けるというのは異常なように思えました。これでは政治家が真面目に良き政策を考えるのもバカバカしくなるというものでしょう。

「テレビもビジネスだから視聴率目当てで過激な報道をしても仕方ない」という主張もあると思いますが、それならばテレビ局は「公共の福祉」の名の下に既得権益化している電波を解放して、周波数オークションにかけるべきなのではないでしょうか。

私個人としては都政に大きな不満はなく、望んでいたことは

築地の移転問題を円滑に解決して、環状2号線を開通させて、オリンピックを混乱なく開催し、その後の施設利用計画もきちんと立てて経済が反動で落ち込まないようにする
というある意味で当たり前のこと(だからこそハードルが高い?)でありましたが、それが全く議論されず都議選が終わったことは極めて遺憾です。

ただ残念ながらおそらく今回見られたような、国政と都政を一体視してスキャンダラスに取りあげるマスコミ(特にワイドショー)の報道姿勢というものは今後とも変わることはないでしょう。他方で、2009年の民主党政権誕生時も感じたことですが、ネット論壇というのは諸論点についてまともな議論がなされていたように思いました。しかしながら、そこから情報を得ている人というのは所詮”超”少数派で大勢に影響をあたえるものではないのでしょう。20年後くらいになると多少は状況は変わるのかもしれませんが。

かくして私は今回の都議選の”構造”とそれを演出してメディアのあり方に大いに失望したわけですが、それは私が単に世間知らずなだけでマキャベリあたりが生きていたら「あたりめーだろ、政治なんてそんなもん」と笑われるような話なのかもしれません。

いずれにしろ一般論としては「政治は国民を映す鏡」と言いますから、政治の世界が異常というわけではなく、現代という時代がこういう時代で、私がそれに馴染めていないということなのでしょう。だからこそ場末でフリーランスなぞやっているわけで。

そんなわけで政治に対する認識を改めるべくマキャベリでも読んでみようと思います。なおかつて私に官僚を志すきっかけを与えたのはロックやルソーやモンテスキューやマックスヴェーバーの著作でしてこの時に読む本を間違えたのかもしれませんね(笑)

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「宇佐美典也のblog」2017年7月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のblogをご覧ください。