インターネットモビリティ 真野 浩

真野 浩

一連の光の道議論に関係して、飛び交っているSBの構想に対する多くの推論を拝読していたら、なんかどこかで見た景色が私の頭のなかに甦ってきました。
 それは、2001年に私が設立したMIS(モバイルインターネットサービス株式会社)のことです。 この会社とGenuineというサービス名を池田さんのTwitterで見たのは、実に何年ぶりでしょう。汗;;


 このMISは、Wi-Fiの公衆サービスでしたが、無線LANの基地局は自らの資産として設置し、その基地局は、他者のISPの一般のアクセスサービスでインターネットに接続されていました。 そして、これまた他者のISPによりインターネット接続されたデータセンターに自らの認証サーバを置いて運営されていました。 つまり、いわゆる基幹網を自ら持たないサーピスで、SBMに対する憶測の一つである他者FTTH+フェムトの構図です。
 さらに、この発展型として、京都のNPOが運用したみあこネットでは、APまでのアクセス回線までも、基地局を設置する人(オーナー)の負担とし、認証局との間をIPトンネリングで接続していました。
 この当時は、通信事業は、一種、二種の区別があり、当時MISは自らの伝送路も専用の電波帯域も持たないものの、消費者に対する責任から一種事業者として設立されたものです。
 この会社の狙いは、「移動体通信をインターネットに接続するのではなく、インターネットにモビリティを与える」でした。 そして、End to Endにより移動体通信を目指したもので、エッジだけを所有し、中核を成す基幹網は、他人の資産の集合体であるthe Internetでしたから、二年くらい前に起きた、インターネットただ乗り論そのものでしょう。
 このMISは、いろいろな事情があったにせよ、わずか一年でサービスを休止し、結果的に解散することになり,私も多くの関係者にご迷惑をおかけしましたが、一連の業界の流れは、The Internetがモビリティを持つという事が、時代にマッチしてきたと捉えると良いのではないかと思っています。
 そして、多くの人にとって、自律分散網の集合体であるという、本来のThe Internetの構造が忘れ去られつつ有るいま、もういちどインタネットの在り方を見直す時期なのかもしれません。
 会社の設立記者会見で、村井先生がおっしゃった「とてもえげつない会社」というのが、いまでも耳に残っていますが、インターネットは、まさにえげつないものなのです。