上海万博を考える ー 小谷 まなぶ

小谷 まなぶ

5月1日から、上海万博が開幕した。新聞発表によると当初予定した35万人の入場者数を大きく下回り、20万人程度の入場者数だったということだ。


 私の友人で、アフリカ館で出店して方にも話を昨日伺ったが、5月1日、2日は、非常に込み合ったが、3日目以降、思ったほど込み合わなかったと言う話であった。私の住んでいる上海市の打浦橋エリアは、上海万博会場の浦西側会場からは、距離にして1Kmほどの場所。当初、上海万博が始まれば、非常に込み合うのではないかと心配していたのだが、思ったほど、中心地は、込み合っていないと言うのが現状である。
 
 長年、話されていた上海万博であったが、いざ、始まってみて思ったことは、それほど、上海市民の間では、熱い想いが無い様に思われる。私の会社のスタッフは、みな上海人であるが、スタッフに聞いてみても、『時間があれば、会場に行ってみたいと思うが、半年も開催しているので、いつでも行けるので慌てていない。』と意外と冷静な意見である。
 
 大阪万博のような、盛り上がりは、上海ではあるのかと言えば、それは、無いように思う。しかし、上海人にとって、上海万博に向けてのインフラ整備によって、非常に生活の便が向上したことが事実である。地下鉄の整備、公園の整備、上海市内のほとんどの道路を再舗装し、そして、市内の建物のほぼすべての外壁のリフォーム、再塗装などを行った。これで、街全体は、数年前と比べて見違えるほどきれいになったのである。
 
 その状況を見ていて、上海人にとっての万博は、参加するというより、街全体のインフラの整備と美化という点で、満足しているように思う。上海万博を行うまでに、多額の資金が街に投入され、これは、市政府の人間から聞いた話であるが、年間 3000億元(4兆円)の資金を5年間投入して、街の整備を行ったということである。
 万博景気で、上海は思うほど、世界同時不況でも影響を受けず、活気のある街でいれたことは事実である。しかし、万博景気が終わり、次の目標がいまひとつ見えていない上海であるが、政府の発表では、香港のような金融自由都市を目指して世界から投資を集めたいという次の目標を掲げているということである。

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