Yahoo!JAPANとGoogleの電撃的な提携が発表され、ネットビジネス関係者の間で衝撃が走った。しかし、同時に歓迎すべき事でもある。Googleの優れた技術をYahoo!が導入する事で利用する広告主の利便性が大きく向上するからだ。ただし、1つ懸念材料があるのも事実だ。
12月に入ってすぐに、Yahoo!JAPANの検索結果がGoogleとほぼ同じになった。今回の提携は、2つの技術の導入が目的と考えられる。1つは、検索エンジンの導入。もう1つが来年の夏以降に導入が予定されている、Googleの広告配信システムの導入だ。
実は、広告主にとって、はるかにこちらのほうが大きな影響がある。
Googleは、収益の9割以上を、広告配信システムによる広告から得ている。提携により最も問題が起きる可能性があるのが、ファーストページビッドと呼ばれる最低入札価格だ。本来は、広告主が入札し、競合状況により、広告のクリック単価が上昇する。しかし、一部の人気キーワードは、Google自身が独自の価格設定をしているのだ。
これをGoogleでは、ファーストページビッドと呼んでいる。つまり、本来なら、もっと安いクリック単価で広告が出せるはずなのに、Googleのさじ加減によって、最低入札単価が引き上げられるのだ。すでに今でも一部そのような現象が確認されている。
しかも広告配信システムの管理画面に、入札単価を引き上げなければ、あなたの広告は表示されないという警告が出る。
ところが、実際に確認してみると、ちゃんと広告は表示されている。そして、競合する広告主も少ないというケースだ。
Yahoo!JAPANとGoogleという、2つの検索エンジンの日本におけるシェアはおよそ9割。その圧倒的なシェアを持ち、かつ、入札価格を独自にコントロールしたなら、大きな問題である。彼らは、いつでも簡単に価格をあげる事ができるからだ。ただ、ファーストページビッドをつり上げるだけの事で。広告主にとっては、きわめて大きなインパクトを与えかねないのだ。
顧客獲得コストが大きく上昇し、ビジネスの収益性を損なう可能性を秘めているからだ。したがって、Googleの広告配信システムをYahoo!JAPANが導入した後、状況を注意深く見守る必要がある。
(斎藤 元有輝(もとあき) 高収益ホームページ研究会代表
ブログ twitter:@motoakisaito)