【本日より開催】アゴラ連続セミナー 池田信夫 「経済問題を古典で読む」

アゴラ編集部

ケインズは、経済学者の本業は時事的な「パンフレット」を書くことだと説きました。経済学の有効性は一時的なので、学問としての完成度を追求するより日々の問題を解決するジャーナリズムであるべきだとしたのです。事実、経済学には古典と呼ばれる本はほとんどありませんが、数少ない古典を読むと、そこには同時代の経済問題と格闘する問題意識があります。

いま日本が歴史的な転換期を迎えているとすれば、その問題を解くために必要なのは数式や統計ではなく、こうした問題意識ではないでしょうか。来年1~2月の連続セミナーでは経済学の古典8冊をテキストにし、それを現代にも応用できるパンフレットとして読んでみます。テキストを読むのが面倒なビジネスマンのために、毎回そのエッセンスをまとめたレジュメを配布します。


■開催スケジュール

開催日:2011年1月11・18・25日、2月1・8・15・22日、3月1日(全8回・毎週火曜日)
時間:18:30~20:30 (18:10開場)
場所:T’s渋谷フラッグ 地図
定員:40名(定員に達したら締め切ります)

■講義内容

第1回 スミス『国富論』:本書はイギリスの生産物を輸出するために重商主義を批判して自由貿易の利益を説く政治的パンフレットでした。「規制を撤廃して自由に取引すればみんなが幸福になる」という結論は今も経済学のセントラル・ドグマですが、それは正しいのでしょうか。構造改革の意味を『国富論』で考えます。

第2回 マルクス『資本論』:20世紀に最大の影響を与えた古典は、社会主義という史上最大の悲劇の元凶でした。一つの書物がこれほど歴史を動かす力を持ちえたのはなぜでしょうか。それがもたらした悲惨な結果に彼はどの程度、責任があるのでしょうか。民主党政権まで続く社会主義の功罪をマルクスの視点から考えます。

第3回 ナイト『リスク・不確実性・利潤』:2008年の世界金融危機は、「リスク」を完璧に計算していたはずの金融商品が、バブル崩壊という「不確実性」には脆弱であることを示しました。ナイトが不確実性を解決するしくみとして考えたのは、金融商品ではなく企業だったのです。その思想を再評価し、不確実性の意味を考えます。

第4回 ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』:「有効需要」や「乗数効果」の理論は今日では疑問ですが、ケインズの核心にある思想は「不確実性」だと彼はみずから語っています。これは同時代のナイトと通じる面があり、今回の金融危機で再評価されています。不況の理論としてのケインズ経済学の有効性と限界を考えます。

第5回 シュンペーター『資本主義・社会主義・民主主義』:シュンペーターは「起業家精神」や「創造的破壊」という言葉で有名ですが、彼はそういう資本主義の情熱は、企業が巨大化・官僚化するとともに失われ、社会主義に負けると考えていました。彼の予言を検討しつつ、起業家精神の役割を考えます。

第6回 ハイエク『個人主義と経済秩序』:官僚をたたくことは日本の常識になってしまいましたが、官僚制の本質を解明した本は少ない。ハイエクは官僚制が「大きな社会」を管理できないことを証明し、社会主義が行き詰まることを予言しました。ハイエクを読みなおし、官僚制の改革を考えます。

第7回 コース『企業・市場・法』:コースの書いた論文は少ないが、現実の制度として採用され、大きな影響を与えています。「連邦通信委員会」は周波数オークションを提言し、「社会的費用の問題」は排出権取引の理論的基礎です。コースの理論を解説して市場メカニズムを活用した制度設計を考えます。

第8回 フリードマン『資本主義と自由』:50年前に書かれた本書は、現在でもまったく古びていません。公的年金の廃止、最低賃金の廃止、教育バウチャー、職業免許の廃止、負の所得税などの政策は、今も政策論争の対象になっています。なぜ自由主義はきらわれるのか、特に日本でそれを実現するにはどうすればいいのかを考えます。

■受講料(全8回)

一般…8万円 学生:4万円
早期割引:1月3日までにご入金いただいた方は、下記の割引料金です。
一般…6万円 学生:3万円

■お申し込み方法

こちらの専用フォームよりエントリー後、フォームに記載の弊社口座へのご入金をもって手続き完了です(PayPalでも入金できます)。