待ち遠しくなる月曜日のために:企業のあり方について

松岡 祐紀

現在の企業を一人の人格として精神分析を行うと、どのような診断が下されるかご存知だろうか?2004年に製作された「ザ・コーポレーション」という映画のなかでは実際にどのような診断が下るか検証し、その結果、企業は“サイコパス(人格障害)”と診断された。サイコパスの特徴は下記が挙げられる。

1. 極端に自己中心的
2. 慢性的な嘘つきで後悔や罪悪感が無い
3. 冷淡で共感がなく、自分の行動に責任が取れない。
4. 他人への思いやりがない。
5. 人間関係を維持できず、他人への配慮に無関心。
6. 利益のために嘘を続け、罪の意識がなく、社会規範や法に従えない。


月曜日になると会社に行くのが嫌だったり、月曜日が最も自殺が多い曜日(平成22年版自殺対策白書による)だというのも頷ける。なぜなら、多くの人がサイコパスのために、せっせと働いているのだから。

企業が「利益を追求する」限り、これは仕方がないことかもしれない。だが、この利益の追求という定義をもう少し見直せば状況はかなり変わるのではと思っている。利益=短期的に上げられる金銭的な利益というのが一般的な定義だが、これをもっと長期的なスパンで捉え、労働者、企業、顧客の三者が共に利益を上げられるような仕組みを考えられないだろうか?

そのような取り組みをしている企業が実際にある、それがザッポスだ。

労働者の利益とは、突き詰めていくとそれは彼ら自身が幸せになることだ。幸せとは「自分で自分をコントロールすること、進歩を感じること、つながりを持つこと、ビジョンと意味(自分自身より大きなものの一部となること)」だとザッポスのCEOであるトニー・シェイは語っている。これをザッポスのコア・バリュー(企業理念)としており、従業員が幸せならば顧客にもその幸せを分け与えられるという考えを取っている。企業にとっても、従業員の生産性が高まり、また家族的な雰囲気なので従業員の定着率も高まって、新規採用にかける費用をかなり軽減出来る。

日本でもカンブリア宮殿に取り上げられたメガネ21などは同じように徹底して従業員の幸せを追求している会社として知られている。

どちらもただモノを売っているだけの会社だ。だが、非常にクリエイティブな労働環境を提供し、働く人にとってやり甲斐を創出している。同じようにただモノを売っている会社であるギャップやナイキが、どのような労働環境を発展途上国の工場で働く人々に対して提供しているかを、「ザ・コーポレーション」で確認するとその違いは歴然だ。

多くの会社は同じようにただモノを売っている。そして、われわれは特に意識もせずにそれらを購入している。少しでもザッポスやメガネ21のような会社を増やしたいと思ったら、モノを購入するときにその販売会社がどのような会社か確認してから購入するといいかもしれない。

それがわれわれが待ち遠しくなる月曜日を作っていく一番の近道ではないだろうか。

株式会社ワンズワード 代表取締役 ブログ

コメント

  1. h_tsuji2011 より:

    企業はなぜ人格障害に陥ったのか?
    それは政府(政治家?)が企業の人格を奪ってしまったから。
    再配分や公共サービスは政府の役割、企業はお金を稼ぐだけ。
    こうして企業は人格障害になってしまった。

    そもそもの間違いは公共サービスや所得再配分は
    政府が面倒をみれば効率が良い、という政治家によるウソがまかり通っていることにある。
    世の中に価値を生み出しているのは企業であり、政府や政治家では無い。
    余剰を集めて複数の公共の組織を経由してバラ撒くのが効率が良いはずが無い。
    公共サービスも所得再配分も企業が直接「フリーミアム」のような形で実行するべきだろう。

    政治家はご都合主義でバラ撒きを実行し、借金だけを増やした。