私は何を隠そうPC使い始めてからのYahoo ユーザーである。きっかけはと言うとPCの設定が偶々IE立ち上げたらYahooトップ画面の導線に成っていたからである。その後、浮気もせずに今日に至るのはYahooトップ画面が良く出来ていて便利で快適だからだと思う。
イメージとしては居心地良い茶の間と言う感じで、手を伸ばせば欲しい物に苦労せずに手が届く。PC立ち上げたら、先ず「Yahoo Mail」で到着メールのチェックとか返事の発信。「天気予報」でその日の天気確認し折りたたみ傘を鞄に入れるかどうか決め、初めての訪問先があれば「路線」で最適ルートを確認する。慶弔関連幾らお金包むかは何時も悩ましい問題だが「Yahoo知恵袋」が丁寧に説明してくれる。
そして面白いのは「News」。基本真面目な編成だが中に「沢尻エリカ復縁?」と言った「日刊ゲンダイテイスト」が含まれていて飽きさせない。良く工夫されていると感心させられる。Googleは欧米では検索シェアが90%超で実質独占状態にあるが日本ではYahooが60%。Googleが30%とダブルスコアつけられ苦戦している。背景はこう言った日本人向けカスタマイズと言うYahooの日々の地道な努力の積み重ねにあると思う。
さて、今回のGoogle提携であるがユーザー視点で観れば元々サービスの裏側の仕組み等 どうでも良い話であり、世界最高峰のGoogleエンジンを使用すると言うのは朗報と思う。Yahoo Japanは元来Yahoo Incより技術供与受けて来た訳だが今回Yahoo Incが検索関連技術開発からの撤退決定を受け、Yahoo Inc同様MSのBingに乗るかGoogleに乗るかの二者択一の状況でより良い顧客サービスの観点でGoogle採用を決断したと聞いている。
無論、Yahoo Incとの軋轢やMSからの悔し紛れの独禁法抵触の告発等は折込ずみなのだろう。要は、Yahooとしてのグループのシナジー、整合性よりも国内ユーザーの利便性を尊重し、検索に関しては所詮沈む船でしかないMSを見捨て世界で覇権を持つGoogleをパートナーに選んだと言う事である。此れはユーザーとしては歓迎するしか無い。
Googleの検索サービスは破壊的イノベーションを可能とする天才によって創造された訳であるが、その後は圧倒的なサーバー台数、エンジニアの投入数、そして検索に於けるタイムラグをなくす為の厳しいチューニング精度等競合他社の追随を許さない段階迄来ていると思う。
従い、独占は必然の筈である。検索サービスに限らずネット関連サービスは優勝劣敗、ナンバーワン企業1社のみが生き残りを許容され残りは全て野垂れ死にしか無いのでは無いか?そして問題を更に難しくしているのはそのスピードである。自動車や家電製品の買い替えが10年後であるとするとYahooを1秒前にクリックした人間が今クリックするのがGoogleと言う事があちこちで起こっている筈だ。
20世紀に長い年月をかけ達成されたであろう独占が一瞬にして達成される訳である。従って、検索を含めたネットサービスに就いては「独占禁止法」は既に時代遅れで実態に即して無いのではと危惧する。その結果、公正取引委員会は辻褄合せを余儀なくされ此れは必然行政に拠る解釈の拡大、裁量権の拡大と言う問題を引き起こしおり、取りも直さず看過出来ない「法の軽視」そのものと思う。従って、肝心な事は国会議員が問題意識を持ち法律を必要に応じ遵守可能な内容にテンポ良く改正し続ける事であろう。
独占に拠りユーザーが損失を蒙るとか言う業界関係者が居るが、荒唐無稽な話である。
Yahooの「天気予報」が外れてばかりだとか「路線」が上手く機能せず30分で行ける所を1時間掛けてしまったとなれば誰も信用しなく成り、利用しなく成る筈。要は他のサービスに移行する筈だ。例えば、「天気予報」ならテレビ観れば済む。検索も基本同じだ。
要は、検索サービスで誰も使用を強制されている訳ではなく問題あれば(あると感じたら)使わなければ済むだけの話なのである。
Googleの検索エンジンのシェアが今回90%超と成る事で、国民の情報がGoogleに独占され何と無く気持ち悪いと言うエモーショナルな指摘もある。此れは確かにGoogleに何処迄行っても「得体の知れない」所があるのである程度は理解出来る。しかしながら、現在掘北真希ちゃんの可愛いCMが流れているドコモのオートGPS iコンシェル加入すれば何時、何処に居たか全て筒抜けであり丸の内で商談している筈が実は東京ドームで巨人・阪神戦を観戦していたなど全てモニターされる訳で此方の方が本来遥かに深刻な問題である。要はネット時代には実質プライバシー等無いのにも拘らず、あると勘違いしているのがそもそものボタンの掛け違いなのである。
最後に、「大航海プロジェクト」の様な国策案件は失敗確実であり税金の無駄使い以外の何者でも無い。必要な破壊的イノベーションは「狂気」、「奇人」、「変人」によって達成されるものであり、一方官僚は受験秀才で真逆の存在である。小手先でプロジェクトを捏ねくり回しても何も生まれない。本当にやりたいなら日本の風土を「狂気」、「奇人」、「変人」を許容するずっと寛大なものに変えねば成らないと思う。随分時間のかかる話である。
「日の丸」検索エンジン等過去にも存在しなかったし、現在も無ければ、将来も在り得ない妄想である事この際国民は改めて認識すべきと思う。ネット時代の「日の丸」偏愛は基本歪められ、矮小化されたナショナリズムから派生しており、「日の丸」掲げ結果日本を駄目にしている。利益誘導の政治家、官僚そして税金投入が無ければ死んでしまう国際市場で勝ち目無いゾンビ企業等一切合切此の際淘汰すべきであり、今回の国民的議論の結論の一つがそうある事を切望する。
(山口巖 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役)