財政破綻は必至

というような扇情的なことを書くな、という指摘を間接的にいただいた。財政破綻は必至だと私は思っているが、それが扇情的だとは思わない。なぜなら、破綻は必至だが、狭い意味での財政破綻は結局起きないだろうし、財政破綻するかどうか自体は意味のない問題設定だからだ。


財政破綻の定義を、政府が支払いに滞り、公務員の給与支払いや支払いが行われなくなる、ということに限るのであれば、それは日本の場合には起こりにくいだろう。

その理由は、表面利率が現時点で低いことである。現在の国債利率は10年物で、1.2%程度だが、これが暴落して、一気に2%上がって3%となったとしても、1年間の国債発行高は借り換えも含めて150兆程度だから、最大でも利払いの増加額は3兆円だ。3兆円の利払い増加で、政府の資金調達がいきなり詰まることはなく、その意味では、普通の国債暴落では政府は破綻しない。

ここで、破綻にならない理由は、表面利率が低いことであり、これがデフレの恩恵である。リフレにより、インフレを起こそうとすると、まずは、資産市場がインフレになるから、名目金利は急騰する。リフレということは日銀が札をするか、政府が国債を大量発行するかであるから、名目資産インフレ率が高まるだけでなく、国債のリスクプレミアムも同時に急拡大するであろうから、名目国債金利の上昇は2%などでは済まず、5から10%の上昇となる可能性がある。そのときこそ、政府は財政破綻する。

だから、リフレ派が政権をとるか、政策を支配すれば、政府は財政破綻するが、それ以外では直接の破綻はしないだろう。

破綻しないなら、それはよかった、ということになるかというとそうではない。むしろ逆である。

つまり政府に対する規律がマーケットからは効きにくくなっているということであり、しかし、マーケット規律はどこかに効くから、そこにしわ寄せがいくということである。

その場所はもちろん銀行である。

生保ももちろん国債保有額が多いから、金利の2%上昇は、大幅な資産劣化であるから、減損あるいは実質含み損の急拡大となろう。しかし、生保は上場もしていないし、短期の資金調達は銀行ほどマーケットにさらされていない。

一方、銀行はほとんどが上場しているから、株価は暴落し、そして、それ以上にコールローンが市場で取れないことになろう。ここに1997年のジャパンプレミアム復活となり、ドル資金、ユーロ資金など国際資金が取れなくなる。

そこで、日銀の出番となるのであるが、これは国債そのものを国内で消化していても関係なく、グローバルフィナンシャルマーケットの洗礼を浴びるだろう。

国内預金も、世論やメディアの動向によっては、一気に外貨預金、外債にシフトするから、そこも安泰ではなくなるだろうし、国内指向の腰の重い人々は、海外へ資金を逃避させる力も意欲もないだろうが、彼らは郵貯シフトする能力と意欲はあるから、いずれにせよ、国内預金取り扱い金融機関は一気に破綻の危機に陥り、政府、日銀による資本注入、国有化というシナリオとなろう。

これは財政破綻ではないかもしれないが、日本経済破綻である。

コメント

  1. mekashin1 より:

    人がいづれ死ぬのと同じように財政破綻はいづれするでしょう
    けどいつどのようにが問題なのです

    経済学者が財政破綻を指摘するのは
    ヘビースモーカー、重度の肥満のひとに
    医者がこのままだと死ぬよといっているようなものです

    ただ経済破綻をしても死ぬわけではない
    一時的な混乱があるでしょうがたいしたことはない
    戦時中のような戦死者や、戦後の餓死者が出るわけでもないでしょう

    だとしたら回避するのも無駄
    延命するのが一番現実的かもしれませんがこれも苦しい
    破綻を予測し、対策を練るというのもどこまでできるのやら

    今の政権のやっていることは消去法で現実的なのではと思いますね。

  2. bellydancefan より:

    結論は同感です。菅政権での本国会提出の未可決の案件に、TPPのリスクの引き受け先として、日銀がプールしている剰余金(名目勘定は引当金)をから捻出させるということでしたが、この勘定科目は年々増え続けています。

    企業内留保にしても、日銀剰余金にしても、貸し方から借方へ資金移動があるということは明らかにバブルです。

    そのバブルを生みだしているのが、据え置き金利だったりするのですが、国債の割り振りは体面上、入札制度を導入しています。とても人気のないフリーマネー(0金利)で落札させるには、日銀も入札に参加し、配当の少ない金融商品を買わせないといけません。その引き受け分を日銀が市場に再度還流させます。還流と還元を繰り返し、当座預金の推移を緩やかな上昇を是とするものです。

    そのプールした金額が売現先勘定なのですが、菅政権は引当金(3兆円)を使うと言っているので大した影響はないと思われます。

    因みに金利を操る売掛金現先勘定(23兆円)は我がUNDER GROUND MISSION ROOM が狙っています。(笑)

  3. bellydancefan より:

    (注意:追記)

    http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2011/ac110131.htm/

    営業毎旬報告(平成23年1月31日現在)
    数字はこちらから引用しました。

  4. hogeihantai より:

    12月末のメガバンク債券含み益は9月末に比較し6割の減少で、一行は含み損を抱えてしまった。10年国債は9月末0.93%、12月末1.12%、この数日更に上昇2月4日は1.28%、米国金利と連動性が強くなっており来週は1.3%を超えるものと思われる。3月決算では地銀が悲惨な結果になるでしょう。

    過去も金利急騰時はこっそり郵貯の買いで抑えてきたが、いよいよ弾も尽きて来たようだ。長期金利は市場原理に委ねるべきなのに、「国債管理政策」を通したリモートコントロールで管理してきた「八百長国家」のつけを払う時が近づいて来たようです。

    地方選を含めると毎年選挙をやって政策は猫の目のように変わり、痛みを伴う決断は何もできない。Banana Republicの末路はどこも同じだ。

  5. horiems より:

    最近、早く破綻したほうが結果として望ましいのではないかと思うようになりました。
    日本社会全体が既得権益者の勝ち逃げを決め込んで、結果としてジリ貧になっているようです。
    特に企業や人材にまだ競争力が残っているうちなら、早急に立ち直るのではないかと考えています。

  6. galois225 より:

    概ね同意できますが、郵貯については、その資産のほとんどが国債、地方債ですので、金利上昇のダメージは郵貯が一番大きいのです。 従って、郵貯に預金を預け替えるという行動は考えにくいと思うのですが、如何でしょう。 

  7. fmggt127 より:

    >国内預金も、世論やメディアの動向によっては、一気に外貨預金、外債にシフトするから、そこも安泰ではなくなるだろうし、国内指向の腰の重い人々は、海外へ資金を逃避させる力も意欲もないだろうが、彼らは郵貯シフトする能力と意欲はあるから、いずれにせよ、国内預金取り扱い金融機関は一気に破綻の危機に陥り、政府、日銀による資本注入、国有化というシナリオとなろう。<

    金融業界はともかく高齢預貯金者の多くは逃げ切れないでしょうね。
    しかし国は円高でありその上借金を抱えたままだと企業は設備投資をしないし、金融機関も融資が出来ない。
    韓国やブラジルじゃないけどここは一度破綻させた方が再生が早いでしょう。