中国の新聞『東方早報』によると、上海における人件費の高騰と人材不足について記載していた。先日上海市内で行われた就職説明会では、ほとんどの企業の給料が月給2500元以上(32500円)を提示していた。これは、昨年度と比べて15%以上の上昇ということである。
管理職では、4000元~6000元/月給(52000円~78000円)が相場となっている。また、高度な技術を有する技術員には、10万元~20万元(130万円~260万円)という年俸を提示している企業も少なくないという。一般的に高度の技術有する技術職員には、8000元~1万元/月給(10.4万円~13万円)という。現在1元=13円程度である。
この時期は、人の流動が一番激しい。中国の正月である春節は、長期休暇を境に、転職の時期として中国人の中で認識されている。春節の休暇中に、大都市に出稼ぎに出ていた人は、故郷に帰り、故郷の友人と給料についていろいろ話をする。その結果、自分の職場の条件、給料が悪いことが分かれば、同じ職場には戻らず、新たな職を探しはじめる。今年は、上海近郊の生産工場は、人が集まらないで苦しんでいるという話を良く聞く。春節の休暇が明けたが、職員が戻ってこない。製造がまったく間に合わない。中には、ほとんど、職員が戻ってこないで、会社を閉鎖するしかないという企業もあるという話しも聞く。
経営者にとって、この時期の人材確保が一番、頭を悩ます。給料の高騰も、1円でも高い給料をもとめて就職活動を行う傾向が高いことから、人件費高騰を招いている。
そのことは、地方都市でも経済発展が目覚しく、わざわざ上海に出てこなくても、高い給料をもらえることが原因している。
いずれにしろ、中国でビジネスを安定的に続けるには、人材の確保ということが、大きな課題になる。世界の工場として発展した中国であるが、急激な人件費高騰が続いていることを考えても、大都市周辺の製造業は、新たな道を考えない限り、存続が難しくなっていることが言える。
コメント
もはや、中国は世界の工場では無い。マレーシア、カンボジアに早期に進出した企業が勝者である。