今回の事件そのものに就いての理解は、玉井克哉教授が書かれた最近の記事を読む事で充分と思う。
良く考えねばならない点は、今回逮捕された犯人は公開サービスである、ヤフー知恵袋にアクセスした事から直ぐに足が付いたが、仮に外部の特定の協力者にメールを送り、回答を入手しておれば、今以って闇の中の筈であると言う事実である。
その意味、この事件は今少し俯瞰する必要があるように思う。
第一の疑念は今回の京大入試で逮捕された受験生ばかりが話題になるが、特定の協力者にメールを送り、貰った回答で合格した可也の数の受験生が、何食わぬ顔で来月の京大入学式に出席するのではと言うものである。
第二の疑念はこの様な携帯電話のメールサービスを使ったカンニングは京都大学の特殊事情によるものであり、全国に浸潤するものではないと断定出来るのかと言うものである。
第三の疑念はこの種のカンニングが今年初めて行われたのかと言うものである。
些か辛口かも知れないが、私の推論は下記の通りである。
先ず、第一の疑念に就いて言えば多少の甘辛は有っても、携帯電話を使えた受験生多かった筈である。即ち外部の協力者の支援を得て本来不合格と成る筈の受験生が合格した例、結構な数になるのではと思う。
次に、第二の疑念であるがカンニングを可能にする条件は、受験場の監視設備(モニターカメラ等)の不在。試験管の数が少なくしかもやる気がない。携帯電話の持ち込みが可能。このあたりと思う。どう考えても京都大学に特殊事情があるとは思えず、日本国中同じ状況と思う。これは、殆どの大学で携帯電話を使ったカンニングが横行している事を意味する。
最後に、第三の疑念であるが携帯電話が普及して久しい事から、随分以前から水面下で行われて来たものと思う。
私の推論が正しければ日本の大学はすっかりカンニングに汚染されている事になる。
日本の企業が新卒の採用に際し、大学で何を学んだかは全く斟酌せず大学名、詰まりは大学入学試験の難易度で判定すると言うのは良く聞く話である。
今回、この様にカンニングに汚染されている事が明瞭になると、一つ間違えるととんでもない学生を採用してしまうとの危惧から、そうでなくても細っている採用意欲が更にシュリンクしてしまう事だろう。
覇気がなく、草食化が進み、今や草そのものになってしまった感がある日本の大学生に、この上カンニング汚染の疑惑がかかれば、果たして商品価値を維持する事出来るのだろうか?
山口 巌
コメント
確かにカンニングが
これまでまったくなかった
とはいえないでしょうね。
カンニングがあったとしても、その年につき数件程度では?
入れ替わりが数人程度起こった所で、合格点ギリギリのラインにいた人が、大学入学後どの程度の成績を残せるのかは疑問です。
現役生ならば、浪人することで基礎学力を固められますし、浪人して合格点ギリギリなら、周りのレベルに追いつくのが必死で、学問に熱中出来ないかもしれません。もちろん、カンニングで入った学生も然り。
私たちに出来ることは、カンニングの非倫理性を、中高生にどう説得力を持たせて伝えるか、という事ではないでしょうか。