拝啓 橋下府知事殿
貴殿の6/30付けのつぶやき
危機状態の時も、命を落としては何にもなりません。諸事情でエアコンをそのままというのも当然OKです。ピーク時、家庭用、オフィス用の消費電力は3分の2。産業は3分の1。産業は節電の必要なし。特に家庭用では53%がエアコン。危機状況のとき、エアコンOFFが最大の効果を発揮します。
拝見いたしました。7/2の9時現在この発言への修正はつぶやかれていませんのでこれが貴殿の現状の節電対策のひとつと拝察します。いや、「エアコン切れば原発止まる」というボードを作って会見されているのですから、これが節電対策のメインと見てもいいでしょう。
まず、この「諸事情があればOK」というのはあまりにもアバウトではありませんか?もっと具体的に例えば「乳幼児や高齢者や病弱者はエアコンを止めなくていい」などととはっきり言うべきです。それともそんなことは常識だと敢えて言及されなかったのでしょうか?
もちろん、賢明なる知事のことですから、大阪府下(正確には関電のサービス範囲)にどの程度諸事情のある方がいらっしゃるかを踏まえて、残りの方がエアコン切れば大丈夫との確信があってのご発言だと存じますので、マスコミからつっこまれないように是非ともその裏付けデータをお示しください。
万一そのデータの見積が甘いと効果がなくて、停電や大口需要家への緊急送電停止が発生してしまうので第三者にその裏付けを評価してもらう必要があります。もっと確実なのはサンプリング調査して、各家庭の「諸事情」とエアコンオフへの協力意思を確認しその効果を見積もることです。(ひょっとして調査済みでしょうか?)
ただいずれにせよ関東のように強制力のある節電要請ではないのでその効果は不確実です。行き過ぎると熱中症多発、効果がないと大停電となるので、「最大の効果」を発揮させるのは難しい節電対策ですね。まさか資源エネルギー庁の「一般家庭の夏場の日中消費電力」の推計グラフを見ての安易な発想ではないと信じますが。
電力会社、政府、マスコミはエアコンオフではなく声を揃えて「設定温度の調整で節電」を訴え続けています。関電の大株主である大阪市(平松市長)への対抗意識すなわちアンチ関電・アンチ平松の立場から彼らと同じ節電対策は口にしたくないからもっとドラスティックな「エアコンオフ」をキャッチフレーズにしたようにも見えてしまいます。実際はテレビでこれだけ熱中症の注意を呼びかけているのだから無理して切る人はいないと考えておられるのでしょうね。でも貴殿は熱狂的人気があります。知事と府民のために、私がエアコンさえ我慢すれば怖い原発がなくなると思い込んだお年寄りが命を落とすことはありえないでしょうか?もし熱中症で死んだ人の部屋に「エアコン切れば原発止まる」という趣旨のポスターがあったら心がいたみませんか?
また、上のつぶやきでは「産業は節電の必要なし」と断言されています。これは別途「関電の節電要請は霊感商法」とおっしゃているように今まで通りに電気を使いなさいという意味ですね。確かに電力は産業の生命線なので安定した電力供給と産業のための消費は必要です。(ならば原発から太陽光発電へのシフトのみを訴えず、短期間の工事で十分な電力供給の可能なLNG発電などの化石燃料エネルギーの使用も合わせて考えて下さい)
しかし、現実には関電の言うことも無視はできず、関西の産業界(サービス業も含む)はニュースを見る限りでは涙ぐましい努力をしています。これらが積もり積もって定常的な電力使用量を削減し、その結果ピーク時の緊急事態の発生確率を低減させることになり、ひょっとしてエアコンオフ警報は発令しなくて済むかもしれません。
あなたの良きライバルの石原都知事は「自販機、パチンコやめちまえ」とおっしゃています。
一般家庭に無理を言うキャンペーンだけでなくパチンコ屋、キャバクラ、ゲーセンなどの娯楽産業は一般のサービス業とは区別して厳しく節電や営業時間の変更を要請してもいいのでは?もし業界から補償を要請されれば、太陽光パネル設置助成金に回す分を割り当ててもよいのではないでしょうか?(これが可能かどうかは申し訳ないですが試算はしていませんが)
とにかく暑く厳しい「大阪夏の陣」ですが、貴殿は当然「大阪秋の陣」を視野に入れておられることでしょう。そのためには一般府民からも産業界からも支持を得続ける必要があります。それが冒頭のつぶやきを生んだのでしょう。
よくよく考えて見ればこの節電キャンペーンはどっちにころんでも貴殿には有利ですね。成功すれば「府民の力で乗り切った原発不要の夏」、万一トラブルが発生すれば「歪んだエネルギー政策の生んだ停電(さらにもし関電の発電所・変電所事故が引き金になったらぼろくそに叩く)」となって選挙のネタとしては十分ですから。
それでは、本当に始まった「節電の夏」どうぞご自愛下さい。
(大阪府寝屋川市 刀祢邦芳)