復興財源を賄うために携帯電話の電波利用料を対象に臨時増税すべき、と与謝野馨経済財政担当相が22日にBSフジで表明した、と数紙が報じている。財政規律を重視する立場からは、あらゆる財源の可能性を検討するのは当然で、電波利用料もその候補の一つになったのだろう。
問題はただ一つ。電波利用料の用途が「電波の適正な利用の確保に関し総務大臣が無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用の財源に充てるため」と電波法で定められていることだ。このままでは増税分を一般財源として用いることはできない。
代案を提案しよう。それは電波オークションを導入することだ。総務省に組織されている『周波数オークションに関する懇談会』の第5回会合(2011年6月17日)で、僕は次の資料を提示した。
電波利用料を増税するのに比して圧倒的に大きな一般財源が、電波オークションでは期待できる。懇談会でも説明したように、オークションを前提として通信事業者が事業計画を立てれば、落札価格が利用者に転嫁されることもない。
今日、地上波テレビのデジタル化が東北三県を除いて完了し、その後「跡地」の周波数配分が実施されることになっている。この「跡地」こそ、電波オークションで最大の収入が得られると想定されている帯域である。与謝野経済財政担当相には、電波オークションの導入についてただちに検討してほしいものだ。電波利用料の一般財源化も電波オークションも、電波法改正を伴うという点では、手間は同じだからだ。
山田肇 - 東洋大学経済学部