夏休みの読書ガイド

池田 信夫

この「良書悪書」のコーナーも、毎週末に連載してきて、100冊を超えた。これは日本語の新刊を毎週1冊というノルマだが、良書はそんなペースでは出ない。だから読んではいけない悪書も書評しているが、★★★★以上はおすすめできる。そこで読書ガイドとして、このコーナーのベスト10を選んでみた。

  1. 『フォールト・ラインズ』

  2. 『人間らしさとはなにか?』
  3. 『マンキュー マクロ経済学』
  4. 『マネーの進化史』
  5. 『フーコー 生権力と統治性』
  6. 『生命保険のカラクリ』
  7. 『国家は破綻する』
  8. 『シュンペーター伝』
  9. 『ポスト・マネタリズムの金融政策』
  10. 『イギリス近代史講義』


このうち1と7と9は、週刊東洋経済のベスト4に入っている。1の原著は全世界で賞賛された名著だが、訳がひどい。2は脳科学の権威の書いたやさしい入門書。3は「動学マクロ経済学」とはどんなものかを知りたい人のための入門書。4は貨幣を通じた世界の経済史、5はフーコーについて書かれたもっともすぐれた解説。

今年、話題を呼んだエネルギー関連では、私の個人ブログを含めて

  1. 『エネルギー論争の盲点』

  2. 『パワー・ハングリー』
  3. 『電力自由化の経済学』
  4. 『地球の論点』
  5. 『人は放射線になぜ弱いか』

がおすすめ。特にAは、これ1冊で日本のエネルギー問題がバランスよくわかる。電力自由化についてくわしく知りたい人はCを。よくも悪くも、この本の書かれた7年前から状況はまったく進んでいない。放射能の恐怖でパニックになっている人は、ぜひEか『放射能と理性』を読んでください。