野田民主党新代表

小幡 績

民主党、唯一の存続シナリオだ。

野田氏以外では政権運営はままならなかっただろう。民主党で党をまとめ、政治を進め、政策を実現できる代表は、小沢と野田だけ。小沢が否定されるのならば、野田以外ない。今の民主党にとっては、唯一の存続可能性が野田だ。


これは民主党内でもそれ以外でも有識者にはわかっていたことだが、ようやく実現した。これで駄目なら民主党は駄目だろう。

なぜ野田がいいのか。

それは人望があるからである。

野田が頼めば、それはどじょうのように頼まなくても、野田の人徳で、みんな野田さんが言うなら止むを得ない、という。

野田をかっこいいと言う人は少ないが、野田を嫌う人も少ない。

党内も野党も、政策の違いを超えて、立場の違いを超えて、具体的な政策を一つ一つ実現していかなければならない。政策の意見は人により異なるのは止むを得ない。だから、政策論争をして同じ政策で集まると言うのは幻想だ。

みんなで知恵を出し合い、多くの人が納得する中道的な案で行くしか、金融危機などの場合を除いてはありえないのだ。

野田氏に望むこと、民主党に望むことは、党内を結束させること。小沢についての議論はメディアも悪いが、民主党も都市部の国民も悪い。

議員と言うのは、国民に選挙で選ばれている。その国会議員が100名以上、小沢を支持しているというのは、そして最大支持を受けていると言うのは、国民の支持を一番受けているということなのだ。それが間接民主主義だ。

それを尊重しない政権、議会運営はありえない。立場の違いを超えて、他党と連立しているのに、党内のメンバーをそのグループリーダーが嫌いと言う理由で排除するのは幼稚園生以下だ。幼稚園生にも失礼だ。

だから、党内を固め、野党と交渉し、ベストでなくとも80%の次善策を実現していくこと。それが民主党には最重要で、それを良くわかっているのが、野田だ。

ヴィジョンや政策は、自然と決まってくる。政策論争などする必要はない。日本経済は困難に直面しており、制約条件は多すぎ、可能な選択肢は限られている。一方、実現されるべき政策がこの20年ずっと先送りされてきた。だからそれを淡々と1つずつ妥協を重ねて、実現していく。それで精一杯のはずだ。

だから、野田氏に政策がなくてもかまわない。いやむしろ個人的な思いは障害だ。社長のペットプロジェクトと同じだ。

民主党が滅んでも、政治が混乱しても、日本社会も日本経済もそれらはマイナスだが、消滅するわけではない。だから日本にとって最後のチャンスだ、というのはうそだ。

しかし、民主党にとって最後のチャンスであることは間違いない。

それを逃さないでもらいたい。

それが野田氏と民主党の議員たちに望むことだ。