日本のカントリーリスク「空気」

村上 たいき

今週のテーマ「空洞化」について、

震災後、企業の視点で見直されているのは、日本のカントリーリスクではないでしょうか?どこの国でもカントリーリスクというものはありますが、日本のカントリーリスクは「空気」という認識が強まったように思います。

現在、電気の安定供給問題という形で、企業活動に影響を与えています。この電気の安定供給問題の原因は、原発が壊れて動かなくなったことではなくて、動く原発を動かしていないからです。そして、動く原発を動かさない原因は「反原発の空気」です。


過去にも、借金している人への同情の空気で法律が変わったり、成金嫌悪の空気で成功した起業家が刑務所に入れられたり、少し前では外資排除の空気もありました。今回は、たまたま電気の安定供給問題という形で「空気の暴走」が表面に出ましたが、今後どのような形で表に出てくるかわかりません。つまり何が起きるかわからないリスクがあります。しかし「空気」は日本の文化であり、これを変えることはかなり難しいかと思います。

上記のほかに、空洞化の原因として高法人税や円高などのビジネスコストの問題がよく挙げられます。しかし、それより大きな問題は人材ではないでしょうか?すこし前になりますが、みずほの調査で外資系企業に日本に進出しない理由をアンケートした調査がありました。このときの結果は1位が「人材確保が難しい」でした(2位がビジネスコスト)。

ただでさえ人口減少で優秀な人材が少なくなっているうえに、日本は、人材の流動化がとても低い。ゆえに企業が優秀な人材、必要な人材を集めることが非常に難しくなっています。既に日本で事業を行っている企業でさえ、最近、人材不足に悩んでいる話をよく聞きます(新卒でも採用予定数を下回ることが多くなってきている)。ただ、これは雇用規制を変えるだけでいくらか改善するので、「空気」の問題よりは解決が簡単に思えます。

最近、円高や原発ばかりが取り上げられ、この話題は注目されませんが、国内産業の空洞化を抑え雇用を確保するには、まずはできることからやるという意味で、まずこの問題解決に取り組むというのはいかがでしょうか?

村上たいき(モンテカルロblog)