米国FRBの終わり

小幡 績

やはり終わりだ。

今回は予想通りoperation twistを行った。

そして予想外だったのは、米国国債購入額が$400Bで予想よりも多かったことと、住宅金利などを意識して、MBSの購入を継続する(満期が来たものを現金にせず、別のMBSの購入に当てる)ということだった。

特に後者はサプライズで、これはマーケットにはプラスのはず。

それなのに、株価は下げた。

株価がインチキであることは前述したが、株価の下げはともかく、MBSの購入をしたことそのものが、米国FRBの終わりを表している。


なぜ終わりか。

第一に、やはり資産市場最優先で、共和党の何人かの議員の反対を突破して、国債、証券化商品を買い入れる決定をしたことだ。

FRBは違う、というだろう。このアクションは、実体経済を回復させる上で、長期金利の低下は重要だから、長期国債の金利、とりわけ長期の金利を下げることで投資を促進するのだ。さらに、MBSは住宅市場を回復させることが、米国経済の要である。そのためには、住宅購入を支援するために、MBS金利は下がらないといけない、ということだ。

それはまさにそのとおりだ。

そしてだからこそおかしいのだ。

FRBの政策目標は、住宅の活性化、それによる資産効果、消費増ではない。雇用回復だ。

日本では公共事業、米国では民間住宅、これが景気浮揚のワンパターン対応であるが、米国の住宅政策で生まれる雇用は、日本の公共事業で生まれる雇用と同じで持続性がない。

しかも、住宅価格を含めた資産価格上昇による消費拡大があるから景気にはさらにプラスなのだが、それは貧富の差をさらに広げることにより、消費を維持することだから、社会にとって長期的には良くないし、経済の活力も長期には低下する。

米国の若年失業率は20%。

成長の国、ベンチャーの国だか、それはあくまで資本家と大きく儲けるエリート起業家のものなのだ。

これでは米国社会は持たないだろう。

そして、FRBはそれに対して無力であり、しかも、経済のために動くことは貧富の差を拡大し(資産市場の回復により)、長期的に米国経済を衰退させるものなのだ。

だから、FRBは終わりなのである。

終わりの始まりだ。

だいぶ前から始まってはいるのだが。