産業の空洞化について

小谷 まなぶ

 円高、電力不足、増税などが原因して、日本では、産業の空洞化が進むのではないかと危惧されている。日本の自動車業界は、中国を中心に、アジアシフトしようとしている。


 日系の自動車関連企業は、海外進出のタイミングを図っている。しかし、困ったことも起こっている。中国に進出したいと思っている日本の自動車部品メーカーの中で、中国の環境局の認可が下りなくて、中国進出ができない企業もある。基本的には、中国の工業開発区は、日本の自動車産業が、中国に来ることを歓迎しているが、環境汚染の可能性が高い塗装や、メッキ加工工場などの進出は、許可しない動きになってきている。特に、沿岸都市では、環境問題に対して、非常に厳しい目をもって、政府が対応している。その分野で、一部の自動車関連企業の中国進出の障壁になっていることは、事実である。
 自動車メーカーは、次々と中国進出を決めている中で、部品供給メーカーが、同じように足並みを揃えて進出することが難しいという現状が一部うまれているのである。
 中国は、現在、自動車販売台数は、世界一の市場になっている。2010年の統計では、1806万台が販売されたということである。今年も、2000万台近く売れるのではないかといわれている。この販売台数は、実に日本の販売台数の4倍である。毎日のように新型車が中国市場で投入されている。中国は、世界で一番自動車メーカーが多い市場である。上海では、人気があるのは、欧州系の自動車メーカーである。次は、日系、韓国系という順序ではないだろうか。もともと、上海には、フォルクスワーゲンの工場が1980年代前半に進出していたことが原因しているのだと思うが、日系よりもドイツ車の方が根強い人気がある。
 上海を中心とする華東地区では、これから、日系自動車メーカーの市場獲得、巻き返しを狙って、進出が相次ぐという話がある。
 何れにしろ、世界で一番売れている市場で、車を作るのがメーカーとして正しい動きではないだろうか?
 日本に自動車産業を残せるかどうかは、日本で自動車が売れるかどうかにかかっている。

 
■小谷まなぶの中国ビジネス奮闘記(オフィシャルブログ)