電波オークションと二次割当のチャンス - 真野 浩 -

真野 浩

  いよいよ、900MHz帯の割当が迫り、いろいろな思惑を含んだ発言や投稿がネット上に溢れつつ有る。   さてさて、この割当は従来通りの裁量行政(いわゆる美人コンテスト)で行なわれるのだろうか? また、2.5GHzの地域Wi-MAXやXGPも割当からもうすぐ三年経過するので、電波政策ビジョンに照らしても、そろそろ再編を考える時期がきている。
 


 既に、アゴラでも山田先生や池田先生が指摘しているように、いままで旧態依然の裁量行政に異を唱えて、ブロードバンドや携帯事業でも、日本の市場に大きな転換をもたらして来たソフトバンクさえも、オークションに反対して、美人コンテストにむけてひたすらアピールをしている。 とくに、最近のTwitterなどで、既に自己リスクで900MHzの整備をしているので、直ぐにでも開始できるというような、半ば脅迫的アピールまで飛び出す始末だ。
 制度設計や旧体質に正面から挑んで、革新をもたらしてこそのソフトバンクだと思う僕からすると、このようなやり方は残念だし、仮に先行投資するにしても、伝播設計などの技術的検証や制度改革に対するオークションやその他代案を打ち出して、アピールして欲しい。  このままじゃ、天下りは受け入れないなど、いろいろと今までの官僚制度の課題に堂々と反論しながらも事業を成功させてきた姿勢が、結局はご都合的なのかとなってしまう。 もろちん、営利事業だから、その選択は他人がとやかく言うものではないけれど、ソフトバンクにそういう姿勢を期待している人は、少なからず居るのではないだろうか?
 一方、2.5GHzの地域Wi-MAXやXGPに割当た周波数も、そろそろ評価して、次を考える時期ではないだろうか? 全国Wi-MAXは、世界の中ではかなり厳しい状況になっているとはいえ、UQが全国に展開し、世界的も貴重なサービス展開事業者になっているので、まだ何年かは事業展開が進むと期待できるし、その後の技術の転換もあるかもしれない。 
 しかし、地域Wi-MAXは、言い出しっぺの1人である私として責任を感じるところは多であるけれど、いまこそ見直しをするべきではないだろうか?  実際、47社が初期に事業免許を得たけれど、そのうち無線局の設置、開局、事業の開始まで至った事業者は、数えるほどだ。  事業開始をしたところも、月次損益はブラスの事業者もいるけれど、初期の基地局設備費の償却さえも、おそらくは目処が建たない程度の営業収支だろう。 特に、放送の圏域免許という保護政策に長年浸って来たケーブルテレビ業界が、一部のコンサルやベンダーの甘い言葉に惑わされて、一県一免許的な勘違いで事業参入表明をし、結果的に電波資源の死蔵をさせている。
 こちらは、ケーブルテレビ業界で歩調も合さられるし、地域毎に本業の加入者もいるし、基地局の設置場所や上流回線も所有しているのだから、彼らが免許を返上して、これらの場所や回線を全国Wi-MAX事業者に提供するとともに、MVNOで再参入すれば、既得受益者の保護も出来る。 そして、なによりUQ-WIMAXの地域展開にも寄与出来て,消費者メリットにもなる。
 ここで、自営からMVNOへの移行に伴う費用は、新たに割り当てられる全国事業者に負担してもらえば、電波資源割当の再編という仕組みの導入になる。

 というわけで、いまこそ900MHzの再割当は、電波オークション、2.5GHzは二次市場/移行市場の確立という大きな制度転換に取り組めるチャンスではないだろうか?

モバイル放送、TD-CDMA、4.9GHz 無線LAN、地域W-MAX、などの電波割当で、結局電波資源はどれだけ死蔵したんだろうか? そろそろ、この15年の電波政策を総括して、本当の制度改革をする時期だうろ。 当然ながら、マルチメディア放送等やエリアワンセグも見直すべきだろう。

 余談だけど、僕はかつてのMISで、第一種通信事業者の認可、休止、廃止の三つを監督官庁から許認可してもらった。 第1種通信事業の休止というのは、法律上存在していたけど、誰もした事が無かったし、その後通信事業法が大きく変わって一種、二種も無くなったので、この三つの書面は、とても稀少品です。(ww)