少子化対策として、学校教育期間の短縮を行うべき

井上 晃宏

人口の少子高齢化は、生産年齢人口(15-64)の減少と言い換えることができる。生産年齢人口の減少は経済成長の制約要因である。現在、その数は、8400万人であるが、あと5年で500万人の減少が予測されている。

大卒一括採用における就職難は、大学生が増えたことによる一時的、部分的な問題であり、日本全体では、労働者数が不足する傾向にある。


かつては、機械化や女子、高齢者、外国人労働者によって、労働量の制約を乗り越えるべきとされてきたが、私は、学校教育期間の短縮が、財政再建に貢献し、かつ、即効性のある施策だと思う。

現在、高校進学率は100%、大学・短大専門学校進学率は76%に達している。

大学教育を止めれば、労働力予備軍は288万人増える。高校教育も止めれば、348万人増える。増えた労働力人口は若年であり、低賃金であり、オンザジョブトレーニングの投資効果は高い。持ち家がなく、扶養家族もいないから、配置転換や転勤にも、柔軟に対応できる。定年延長よりも、はるかに良質の労働力が得られる。

問題は、「どうやって短縮するか」である。高等教育は義務教育と違い、強制ではないので、強制的に短縮することはできない。政府にできるのは、補助金を減らして費用を上昇させて、進学者を減らすことだ。

よって、高校無償化はやめて、実費を取るべきだし、大学助成金も廃止すべきだろう。

学問の継承、発展のために、少数の優秀者向けの奨学金は残してもいいし、卒後に返済する教育ローンもあってよい。しかし、人的資本形成を無視した、自己満足のための高等教育は、生産年齢人口が多く、政府財政に余裕があった時代にのみ許されたバラマキ政策である。この財政窮迫のおりに許される支出ではない。

橋下大阪府知事(当時)が、高校無償化を陳情する高校生たちに対して、
「政府が援助するのは義務教育までだ。その後は自分の金でなんとかしろ」
と、にべもなくはねつける場面が報道されたが、橋下氏の他の政策はともかく、これだけは、全面的に賛成したい。

隣人が三味線を習いたいなら、止めはしないが、自分の金で、勝手にやってほしいと思うのである。