日本社会のパラダイムシフト --- 山口 彰

アゴラ編集部

昨今の様々なニュースやアゴラでの皆様の記事を拝見するにあたり感じることは、日本の社会で今まで当たり前、常識だったことが、変わったり、通用しなくなったり、保証されなくなってきているということです。パラダイムシフトとも呼べる時期にあるのでしょうか。


1.定職があるという常識

不景気といっても失業者で溢れているわけではありませんでしたが、様相が変わってきています。昨今でも大卒就職率60%、院に行く方もいますが4割ほどの学生が卒業しても就職していないという状況で、グローバリゼーション・産業空洞化でこれからさらに悪化していきそうです。また生涯雇用という概念がなくなりつつあり、今職を得ている人も数年後にその会社にいられる保証はないのではないでしょうか。参考ですがスペインで失業率22%、若者の2人に1人は職がないという状況です。

2.給与水準が保障されるという常識

職があったとしても、今までの年功序列で給与ベースアップという図式はなくなるでしょう。逆に一定年齢から右肩下がりもありえるのでは。住宅ローンにも影響しそうです。

3.社会保障を受けられるという常識

日本財政はどこかで緊縮に向かわなければならず、社会保障は大幅にカットされるはず。今の老年世代が恵まれた社会保障を受けられる最後の世代ではないでしょうか。

4.資産が保全されるという常識

信用不安・円安によりインフレになるかもしれませんし、莫大な財政赤字・莫大な社会保障負担をチャラにするにはインフレしかないとも言えます。インフレになれば、現金や預貯金はかなり目減りします。今の資産が価値として毀損されることになります。また財政・景気対策の名のもとに預金等資産に課税されることもありえないとはいえません。

5.安全に生活できるという常識

財政緊縮は安全をもおびやかす可能性があります。ローマの警察ではガソリンが買えずパトカーが半分以上動かせないとのことです。失業が増えれば犯罪も増えるでしょうし、安い労働人口確保のため移民などを受け入れることにでもなれば、日本は犯罪の少ない安全な国というのも過去の話になってしまうでしょう。

その他にも、例えば学歴重視という常識や、例えばデフレの恩恵の物価の安定という常識も変わっていきそうです。

こう書くと物凄い悲観論みたいに見えますが、今までが異常だったのかもしれないですし、これらは新しい社会に生まれ変わるために必要な課程とも言えるかもしれません。またこれらを上手く利用する人もいるはずです。つまりパラダイムシフトに上手く対応できた人とできなかった人で明暗が分かれるということです。

個人的には深刻には考えないタイプです。でも職をなくし、資産もなくなり、社会保障も受けれず、食事もままならず、危険な街で野垂れ死なんてストーリーもあり得るわけです。さすがにそれは困るので、野垂れ死しない程度には、リスク管理はしておいたほうがよさそうです。

社会の変化や情報に敏感でいることで慌てずにすむこともあります。どんな時代でも体が資本なので体調管理は常にすること、家族とは認識を共有し、子供がいるなら生きていくベースをなるべく身につけさせてあげること、これ位は最低限やっておこうと思います。

山口 彰
スポーツインストラクター