若手社員なら、ドアノッカーになろう。- @ogawakazuhiro

企業において、特にスタートアップにおいては、経営者によるトップ営業というのは少なからず行われます。しかし、それはトップ同士によるハイレベルな交渉のためであるべきで、何も社長自ら小さな商売のために身を粉にする必要があるということではありません。トップにはトップの仕事術というものもあります。
新入社員が社長よりも有利なことが一つだけあるのですが、それがドアノッカーの役割を担えるということです。

ドアノッカーとは文字通り扉を叩く者ですが、新規のお客様を足繁く訪問し、自分たちに門戸を開く、つまり取引口座を開いていただくための尖兵となることです。たとえは悪いですが、鉄砲玉のようなものといえます。

1000回のノーに耐え、頭を下げ続け、腰を屈め、愛想笑いを絶やさず、とにかく注文を取り付けるまで通い続ける。それは年を取ったり多くの部下を持つ身にはかなり堪え難い苦痛かもしれませんが、社会に出たての若者にとっては当たり前の試練と割り切れるというものです。

ビジネスは将棋やチェスと同じ総力戦です。飛車や角だけでも勝てないし、クイーンやビショップだけでも詰むことはできません。一枚の歩や一つのポーンをおろそかにしては勝てないのです。飛車には飛車の、歩には歩の役割があります。経験の浅い若手社員であっても、社長や年長のマネージャーにはとてもできない仕事のやり方があるのです。

スタートアップにおいては、実はこのドアノッカーの役割を従順に果たしてくれる若者を抱えることがとても重要です。逆に言えば、スタートアップに入社して、頭角を示すためにはドアノッカーのポジションを積極的に果たしていくことが必要だと言えます。

まだコンタクトしたことの無い企業に率先して電話したりメールをして、とにかくアポイントをとってくる、引合(取引の打診)をいただく。そういう閉ざされていたドアを開くための努力を惜しまない若者は、スタートアップにとって、いつかはと金へと成長する歩と同じです。

その意味で、社員側としても、自分が歩やポーンのように扱われていると不満を漏らす前に、敵陣に攻め込む歩やポーンになることをまず目指すべきです。そうなれば会社側もあなたを粗末に扱うようなことはありません。

– 小川浩( @ogawakazuhiro )