FacebookがついにIPOを申請しましたね。これでGoogleとの人材獲得戦争やスタートアップ買収合戦が激化し、その副作用としてネット関連企業が全体的に活性化するかもしれません。
出口戦略(主にIPOかM&Aによって、資金調達に協力してくれた投資家や社員に報いるための戦略)の一つして、最初からG or Fに買収してもらうことを目指すスタートアップも増えるでしょう。そのためには優れたサービスとビジネスモデルが必要です。
ビジネスモデルを練り上げる上で、最も必要なことはエッジの効いたアイデアです。できるだけ多くの人々にアピールできる、優れた事業アイデアがなければなりません。そして、本当に優れた事業アイデアやビジネスモデルであれば、企画やコンセプトの特徴を一言で簡単に説明できるものです。これをハイコンセプトと言います。
例えば日本人が米国人にトヨタを説明するとして、もっとも分かりやすいのは「和製ゼネラルモーターズ(GM)」でしょう。倖田來未なら「和製ビヨンセ(敢えてレディーガガとは言いません)」とでも言えばイメージできることでしょう。
ハイコンセプトは、多くの人に受け入れられるようにシンプルなものでなければなりません。例えば、先述のスクエアならば、彼らのハイコンセプトは「零細企業向けカード決済」となります。 アマゾンは「世界最大のオンライン書店」からスタートし、Macは「普通の人のためのコンピューター」でした。Facebookであれば、「大学生のための”排他的”ソーシャルネットワーク」だし、ウィンドウズ95は「マイクロソフト版Mac」、Google+は「Facebookキラー」です。
自分たちの製品やサービスに、売りやすく受け入れやすいハイコンセプトを持たせることができれば、開発者のモチベーションも高まるし、プレスやVCからの受けも良くなる。というより、ハイコンセプトはむしろVCへの売り込みのため、と捉えた方がいいかもしれません。
ハイコンセプトは時代にマッチするべきものである性格からして、旬のものと言うか、鮮度が落ちるのも早いのです。2011年にはソーシャルネットワークサービスやソーシャルゲームに関するビジネスアイデアがハイコンセプトになり得ましたが、それがいつまでも続くとは限らないのです。
2012年から2015年にかけては、明らかにソーシャルメディアとスマートフォン(やタブレット)、そしてその二つが実現する時間と場所に強力にリンクしあう 新しい情報のストリーム。これらを使った革新的なサービスが生まれ、それをマネタイズすることでIPOを目指すか、マネタイズはG or Fに任せて買収されることを狙うかによって、流行となるハイコンセプトは変わってくるでしょう。
– 小川浩( @ogawakazuhiro )