我らが安住財務大臣、とても迷走位で収まる筈はないと思っていたが、遂に大失策をやらかした。何と!、国会で“最高機密”しゃべっちゃった!との事である。最初は目を疑ったが、どうも本当にあった話の様である。
安住淳財務相は10日の衆院予算委員会で、昨年秋の政府の為替介入について「(1ドル=)75円63銭で介入を指示し、78円20銭でやめた」と述べたのだ。市場との心理戦の側面が強い為替政策では具体的な水準は秘中の秘というのが常識だが、責任者の財務相みずからバラすという異常事態。為替相場への影響が心配だ。
これは記事の指摘する通りである。為替介入は、ある意味海外投機筋との心理ゲームである。手の内を晒しては話にならない。
決して難しい話ではない。幼稚園児がトランプでババ抜きをしているとする。持っているカードが見られてしまっては、決してババを引いて貰えず、結果ゲームに負けてしまう。従って、幼稚園児だって、自分の手持ちのカードが見られない様に、しっかりガードしてゲームを楽しんでいるではないか。
言葉尻を捕らえる積りは毛頭ないが、「75円63銭で介入を指示し、78円20銭でやめた」という事であれば、「円買いポジション」の利食いポイントを「75円63銭」と確約している様なものである。
幾ら為替介入は財務大臣の専管事項と言っても、意味を履き違えている。
更に看過出来ないのは、これは友人から聞いた話であるが、「為替介入枠はあと76兆円」と馬鹿正直に国会で開示した点である。
行き場を失って漂流する投機資金に取っては格好のターゲットになる筈である。
ポンド危機は今から丁度20年前に起こった。
当時の英国蔵相ラモント氏が「100億ポンド(1兆数千億)使っても投機に対抗する」と大見得切ったのを、有名なジョージソロス氏に逆手に取られ、ポンドは売って売って売りの浴びせ倒しを受けたのである。ジョージソロス氏はこの取引で巨額の利益を手にした。
ジョージ・ソロス率いるヘッジファンドは10億~20億ドル程度の利益を得たといわれる。
安住財務大臣が理解せねばならないのは、為替介入の資金は何処からともなく湧いて来る訳ではなく、国民の借金である、「短期国債」の発行で賄われているという事実である。
判り易く言ってしまえば、為替損を伴う恣意的な為替介入を繰り返せば資産の伴わない国債の発行残を膨らましてしまうと言う事である。
財務省の頭の中は推測するに「消費税増税」で一杯の事と思う。
しかしながら、これはそもそも国債発行残高のこれ以上の膨張を抑止する為の施策ではないのか?
これでは、財務省はマッチポンプと誹謗されても抗弁出来ない!
以前の記事は、
まるで糸の切れた凧の如く、迷走する安住氏がキリモミして地上に墜落する日は近いと思う
を結びとしている。
しかしながら、安住氏を放置していては彼が墜落するする以前に、どうも日本が破綻してしまう様である。
山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役