BBCが財務省発表の 3月貿易収支内容を受けて、早速下記の如く伝えている。
Japan’s exports rose in March, boosted by a surge in shipments of cars as the sector continues to recover from last year’s natural disasters. Car exports rose 33.6% from a year earlier, with overall exports up by 5.9%, latest trade data showed.Japanese carmakers have also benefited from growing demand from key markets such as the US.
3月、日本は昨年の震災以来回復を継続している自動車産業が大きく貢献し輸出を伸ばした。自動車輸出単独では年初比較33.6%の伸びで、輸出全体では5.9%の伸びであった。アメリカの如き重要市場の需要回復が寄与した。
Japanese imports rose by 10.5% in March, resulting in a trade deficit of 82.6bn yen ($1bn; £632m) during the month. The jump was driven largely by a 21.8% increase in imports of liquefied natural gas (LNG).
一方、3月、日本の輸入は10.5% 増加し、その結果862億円の貿易赤字となった。貿易赤字は主として液化天然ガス(LNG)が21.8%増加した結果である。
自動車産業が頑張って輸出を増やす傍らで、原発停止に伴い増加する液化天然ガス(LNG)の輸入が、この利益を食い尽くすと言う、極めて判り易い構造である。
昨年5月、アゴラ記事菅直人はテロリストか?で警告した通り、想定の範囲内で厄災が国と国民に降りかかっているだけの話である。
一つは、政治に関する常識をしっかり持たねば大変な事になると言う教訓ではないか。市民活動家上がりや社会主義者の政治家などは絶対に政府要職に就けてはならないのである。一発芸、瞬間芸のみの政治家も同様である。今一つは、ベースは自己責任と言う教訓である。なんだかんだ言った所で、最後に後始末をするのは国民である事をこの際肝に銘じるべきである。
日本が経常赤字になり、日本国債の暴落、金利の高騰可能性を、したり顔で説明する識者、論者も散見されるが、流石にこれは無いと思う。
3.11とタイの大洪水で寸断されたサプライチェーンも、順調に回復しており、輸出は年度末に向け伸びる。
原油先物価格(WTI)は下落傾向にあり、液化天然ガス(LNG)の価格が暴騰するとは考え難い。
関西地区の知事が原発再稼働に反対しており、夏場の繁忙期に停電の可能性が高い。結果、大口需要家の製造業が海外移転や廃業に向かうので、電力需要は減少し、液化天然ガス輸入も落ち着く筈である。
皮肉な事に、国内企業が投資した海外事業は現政権や地方行政に影響されないので、好調を維持し、結果、10兆円~15兆円の移転収支が見込まれる。
最近、家電メーカーの体たらくがクローズアップされた結果、日本企業を過小評価する傾向があると思う。しかしながら、実際は頑張っており、国家に対し大きく貢献しているのである。
こう考えれば、日本の喫緊課題は何と言っても「財政赤字の削減」と言う事になる。
この為には、歳入を増やし(消費税増税)、歳出を削減(公務員改革を基軸とする行政改革と福祉の削減)以外、奇手、妙手等存在しない。
従って、政権与党、民主党と現政府はこれを愚直に進めて行くしかない筈であり、他の選択肢はない。
「日銀法改正」の如き禁じ手に浪費する時間は彼らには残されていないのである。
山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役