東南アジア各国の景気が盛り上がっています。フィリピン、インドネシアでは株価は年初来高値圏となっており、両国とも内需主導型経済の回転が効いている状態のようです。また、投資信託の成績で見ると上位10本中8本をタイやインドネシアなど東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の株式に投資するファンドが占める(日経)とのことです。
更に東南アジアでもあまり投資が促進されなかったミャンマーやカンボジアなどにも注目が集まりつつあるほか、南アジアのバングラディッシュなどもその視野に入り始めています。
東南アジアへの投資が加速されてきた原因はいくつかあると思いますが、私が大きな要因だと思っているのが中国の人件費高騰と外資に対する扱いの悪さかと思っています。その結果、日本を始め、中国に参入している外資は政治リスクや国情リスク、更には物価を勘案し、リスクヘッジとして東南アジアや南アジアの諸国にその一部、ないし大部分を移転するところが出てきているのかと思います。ユニクロも然りです。
外資というのは通常、お客様として喜ばれてきたのが歴史上の認識でした。なぜならば本国にない技術が導入でき、雇用を確保し、産業を育成できるからです。ところが、中国はそのお客様を本当に大事にしたのではなく利用したようなところが見えます。それが結局は外資の腰が引けてくるところなのだろうと思います。
確かに中国には人口が13億とアメリカの4倍もあるわけでその国内経済規模は計り知れないものがありますが、東南アジア諸国にも日本がビジネスをする上で人口が十分に多い国は多数あり、インドネシアなどは2億4000万人(世界第四位)もいるのです。また、タイはアジアのデトロイトとも呼ばれるほど自動車産業が集積してきています。シンガポールというアジア金融のメッカもありイスラム金融も手がけられるとすれば経済の中心が移動しつつあるというのが実感かと思います。
また、東南アジアの国家はサイズ的にやや小ぶりであり国内の政情の安定感も増しつつあります。その辺りも外資を呼び込み、国民の生活レベルの向上、ひいては中流層の増大から内需拡大が続く好循環経済が発生している原因の一つだろうと思います。
更には資源が多くある国も多く、今後は資源開発による経済振興も望めるでしょう。
東南アジア不動産は基本的には投資チャンスなのだろうと思います。経済の原則論からすれば中流が増え、不動産への需要が高まり、且、健全なインフレが生じるサイクルに入っていますから東南アジアの都市部で不動産を所有し、賃貸で一定期間運用後、売却するスキームであれば比較的健全なリターンが確保できる可能性は高いと思います。
日本のゼネコンは今一度これらの地域への進出を考えてみるチャンスかと思います。建設会社は海外が苦手か進出しても土木の巨額入札工事にばかり注目しているようですが、私が20年建設会社にいた経験からすれば東南アジアの建設会社を買収し、現地事情と営業を確保しながら日本側主導でマンションや住宅開発を着実にこつこつ進めるほうが得策だと思います。日本はすぐに街で最も高層とか目立つ建物を作ることに生きがいを感じるようですが、私は都市の外観を損なわず、現地の生活に密着したビジネスを長く続けることが本当に土着化し、利益として跳ね返るものだと確信しております。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年5月8日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。