ネット上の色々な意見を拝見して廻るにつけて、現在世間を騒がせているソーシャルゲーム規制も含めて、なぜこのようなトレンドになっているのかその背景が意外に理解されていないようです。ということで、本日のお題は「ソーシャルゲーム規制は長期的なトレンド」です。
近年、警察の介入によってニュースを騒がせている様々な案件を並べてみます:
ソーシャルゲーム業界規制
「景表法以外での規制についてはコメントを差し控える」松原国家公安委員長サイバー犯罪対策
警視庁が「2ちゃんねる」関係先を家宅捜索
上記は昨今話題となっているソーシャルゲーム規制も含めて、これまでそれほど厳密な運用が為されてこなかった分野において、近年、警察が急に厳しい運用に向って一気に舵を切り始めた業界一覧です。各業界とも強制捜査やら指導やらと様々な影響を受けているワケですが、これらはすべて一つの事象とリンクしています。それが「警察官僚人事」です。
実は、現在警察の官僚人事は日本の警察行政始まって以来の「奇特な状態」といわれておりまして、警察庁長官、警視総監という警察行政における主要ポストの2つが生活安全局長という特定の役職経験者によって占められているという状態です。そもそも生活安全局長というのは必ずしも警察行政の中では「花形」とはされて来なかったポジションであり、現・片桐長官がこのポスト経験者として警察庁トップとなるのも初めてならば、長官、警視総監という主要ポストがそろって生活安全局長経験者(現・樋口警視総監は前・生活安全局長)で占められる状態も初めてです。
民間企業と同様に、トップ人事によって組織全体の重点強化項目が変わるというのは非常に自然なことであり、当然ながら現在の警察行政のあり方にも、生活安全局が主要ポストを占めているという現在の人事が大きく影響しているわけです。じゃぁ、生活安全局がどの分野を所掌事務としているかといえば、サイバー犯罪、風俗営業、賭博の取り締りなど、上に挙げた様々な業界を一手に引き受けているワケでして、一見、無関係に見えていた各業界における規制強化の動きはすべてこの一点に繋がるわけです。
現・警察庁長官も警視総監も昨年就任したばかりですから、逆に言えば「このトレンドはしばらく続きますよ」ということ。関連する各業界においては、現在の各規制強化の動きを短期的なものとして小手先の対応で乗り切ろうとするのではなく、中長期的なトレンドとして捉えた上での対策を考えた方が宜しいかと思います。ま、もともと結構いい加減な状態で営業を続けてきた部分が多いですから、これを良いキッカケとして持続的かつ健全に業界が発展できる方策を改めて考えてみるのが「吉」かと思います。
木曽 崇
国際カジノ研究所 所長