注目されていたオリンパスの新経営陣による資本提携の行方。5月22日の毎日新聞によると自主再建の道を選んだとのことです(ロイターは定時株主総会までに決める時間がないという報道となっており資本提携への真意は未確認です)。あくまでも毎日新聞のニュースが正しいという前提で今日のブログを書かせていただきます。
私はこの事件を当初から興味深く見続けていました。そしてこのブログでも何度か、取り上げさせていただきました。本事件の結論の一端としてはニッポン株式会社代表選手の一翼として医療機器技術と市場シェアをもつ同社を暴れん坊外国人に振り回されないようにかばった、というふうにも見えます。
その結果、先月の臨時取締役会でイギリスの暴れん坊さんが最後の足掻きを見せました。一方、その臨取前に発表された人事に海外株主は反発。不満の一つは銀行出身者が会長に座ること、もう一つは「当時を知る」とされる経理担当が役員に名を連ねることへの不満でした。結果として物言う海外株主の代表選手だったサウスイースタンアセットマネージメントは諦めにも似た境地でその持分を大幅に減らしたりしましたがそこに秘められた意味を感じ取ったメディア報道はなかったと思います。
サウスイースタンは少なくとも問題発覚当初そして昨年11月以降の実に醜い状態の際にもオリンパスの再生を信じて株を売らない、と公言していました。穿った見方をすれば今ここで損を出すにはいかない、という風にも取れますが私は純粋にオリンパスの技術力を評価していたと見ています。
ところが元三井住友銀行の専務だった木本泰行氏が会長に座ることを発表したとたん、海外株主としては蹂躙される思いだったような気がします。一方、当のオリンパスとしては銀行出身者を迎え入れることで自主再建のカードを確保したと考えられます。とすれば、サウスイースタンのような優良な本当に評価してくれた株主をそう簡単に裏切って良かったかという疑問は残ります。
どうも同社のさまざまな記事を深読みすると社内にかなり閉鎖的傾向があり、他のブラッドは一切受け入れないという長年培われた独特の社風があるように見受けられます。社長のインタビューなどを聞く限り、その言葉尻は社内と社外(=社会)からの圧力の狭間を微妙に泳ぎ分けているように感じました。
私が早い時期から自主再建が第一オプションだと感じ取っていたのはぶれる発言と共に主要候補に挙がったソニー、富士フィルム、テルモの三社の動きがほとんど聞こえてこなかったことにあります(ほかにパナとサムスン)。
テルモはオリンパスと株の持合をしているだけに優先的考慮があるべきだったと思います。ソニーは本業の業績不振で医療分野の開拓はソニー復活の大きなステップだったのです。
つまり、メディアを賑わしていたあのときは平身低頭で皆様の意見はもっともです、と言い続けながら全然違うことを考えていた、ということでしょうか?
これだけ世間を騒がせたオリンパスですがこの会社はやはり懲りないということになるのでしょうか。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年5月23日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。