植物工場は期待の星 --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

農業といえば田舎、高齢者、きつい、天候に左右される、害虫といった不人気につながる言葉がイメージとして出てくるのではないでしょうか? 仮にこれが全部、なくなったとしたらどうでしょうか?

植物工場という言葉を聞いたことがある人もいらっしゃると思います。野菜を屋内の施設を通じて栽培しているものでもともとは1980年代に第一次ブーム、90年代に第二次ブームとなり、2009年から第三次ブームとなっています。今回のブームは国家プロジェクトとして100億円を越す予算が組まれたことが主因です。


植物工場のメリットは

  • 施設さえあればどこででも作れること
  • 土がいらないので菌もほとんどない
  • だから無農薬、低農薬野菜となる
  • 作業が簡単なので未経験者でもできる

問題点は

  • 設備を作る初期費用がかさむこと
  • 完全制御型の場合、電気代がかさむこと
  • コスト面から現在は葉物等種類に限りがあること

私は今後の研究開発とコスト低減次第ではこれは日本に限らず世の中の農業地図を塗り替えるものになると思っています。地球上で懸念される食糧危機打開の大きな解決策となること、中東の砂漠やシベリアの奥地など不毛地帯でも新鮮な野菜が食べられること、無農薬野菜の普及による健康上の改善が考えられます。

また、日本の日常生活においてもリビングに水槽の様な菜園装置を置き、観賞用としても食用としても使えるものがパナソニックで開発されています。あるいは高齢化が進み、生産効率が悪い日本の農業に大きな支援材料となります。更には土地の有効活用という点からは食物工場を技術的には建物状にすることが出来ますので広大な農地が必要なくなることも考えられます。

個人的には食物工場で小麦が妥当なコストで作られるようになれば地球規模の農業大変革になると思っています。発想的には実に日本的でありますが食物の自給率が低く農家の高齢化が進むという日本の食糧事情の構造的問題をようやく技術力で解決する方策が導かれたわけです。

植物工場はまだまだ認知が低く、特に海外ではその生産コストから実践に取り組むところは限られています。また、完全制御型の場合、光源のLEDの色の組み合わせにより栽培結果が変わるようですからこのあたりは日本のお得意とするエリアではないかと思います。

一方例えば中東で行う場合にはコストが抑えられる太陽光利用型にすればよいわけで地域特性をうまく利用した展開をすれば良いかと思います。

今後の更なる努力で栽培品種の増大とコスト低減による普及への弾みに期待したいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年6月25日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。