さっきの記事のおまけ。橋下市長もいうように
これは大戦争ですが、これが日本を成長させる源泉。 RT @ikedanob: 供給側に補助金を出すのではなく消費者にバウチャーを出すことは、選択を組織ではなく個人にゆだねる革命的な変化で、抵抗が大きいのは当然。橋下改革は日本人が「独立自尊」できるかどうかの試金石。
補助金を出すなら供給側ではなく消費者に出すべきだというのは、50年前から経済学では常識だが、政治家にも役所にもきらわれる。しかし実は通産省の産業政策の中でも、これは実証されている。マイケル・ポーターなどの実証研究によれば、政府の補助金で成長した産業はなく、むしろ農業・流通・航空宇宙・ソフトウェアなど、だめになった産業が圧倒的に多い。その中で数少ない例外が産業用ロボットである。
政府はロボットのメーカーではなく、労働者の安全向上のために中小企業のロボット導入を支援する特別融資を行ない、その価格の25%を初年度に償却することが認められた。この結果、日本の企業のロボット装備率は世界でも群を抜いて高くなり、ファナックなどが世界のトップメーカーになった。メーカーには補助金が出ていないので、世界市場でも競争できたのだ。
似たような成功例に、ファクシミリがある。1970年代にファックスが開発されたころは、世界の電話会社は独占で、公衆回線にファックスを接続することを禁じていた。しかし電電公社は公衆回線をファックスに開放し、通産省はファックスの償却期間を5年に短縮するとともに、特許庁はファックスで送信された文書を公文書と認めた。このように世界に先駆けてファックスの利用を促進したことによって、日本のファックスは世界のリーダーになった。
霞ヶ関でも、さすがに経産省の官僚はこれを理解しているが、他の官庁は供給側への補助金を手放さない。それは彼らの権力の源泉である裁量権を消費者に渡すことになるからだ。社会の中心を組織から個人に移すことは、福沢諭吉以来の宿題である「独立自尊」だが、日本人が受け継いできた「江戸時代型」システムとはまったく相容れない。
これは望ましいのかどうかも含めて検討が必要な大問題だが、ほとんどの人はそこに問題があることすら気づいていない。官邸の前で騒ぐことを「あじさい革命」などと呼んで喜んでいる人々は、百姓一揆のような江戸時代の末裔である。本当の革命は、橋下氏が自覚しているように「長い江戸時代」を終わらせる闘いなのだ。