朝日新聞が伝える所では、探偵社、販売店を利用か ドコモ・auの客情報売買との事である。
携帯電話大手のソフトバンクの顧客情報が漏れていた事件で、最大手のNTTドコモやKDDI(au)の顧客情報も探偵業界で売買されていることがわかった。携帯電話の契約台数は1億2千万台を超えて国民1人に1台の時代だが、個人情報が漏洩(ろうえい)の危険にさらされている深刻な状況にあり、愛知県警は大手3社に捜査協力を求め、実態解明に乗り出した。
ゴキブリが一匹見つかったら、実は背後に何十匹もいると言うのは有名な話であるが、今回の事件もきっと同様であると推測する。偶々、岡山市のソフトバンクの携帯電話販売店元店長が逮捕されただけで、実は顕在化していないだけで、全国で同じ様な犯行が行われていると思う。
当初はソフトバンクの事件として報道された様であるが、携帯電話商流の末端に併売店の存在があり、全てのキャリアーを取り扱っているのであるから今回の記事にあるNTTドコモやKDDI(au)にも広まっているのは寧ろ当然であろう。
更に、昨日の読売新聞の記事、逮捕の探偵、元女性店長が新情報源紹介?に依れば随分と年季の入った犯行の様である。昨日、今日起こった話ではないのである。
捜査関係者によると、平田容疑者は2007年6月頃に横田容疑者と知り合い、直後から情報の提供を受けていた。2人を仲介したのが、共通の知人で、広島県内のソフトバンクモバイル販売代理店の店長だった女性という。この女性の店と、横田容疑者が店長を務めていた店は運営会社が同じだった。女性は広島県内だけでなく、全国各地の顧客情報を大量に照会していたことから、不審に思ったソフトバンクモバイルが女性に事情を聞いたところ、店を辞めたという。
それでは、何故こんな事になってしまったかであるが、どうも「商流」そのものに重大な欠陥があるのではと推測する。
駅前の一等地には携帯電話キャリアーの立派な店舗があるのが当たり前であるが、何れも販売代理店が運営しているのだと聞いている。
シード・プランニングの最新資料に依れば、上位10社の市場占有率が既に50%近く迄来ており寡占化が進んでいるのは明らかである。
小型の代理店が集合し中型の代理店となり、大手一次代理店の傘下に入っているのであろう。キャリアー、大手一次代理店、二次代理店、そしてキャリアーには認められていないかも知れないが実質三次代理店の、見事な「ツリー」状の販売組織を推測する。成程、販売窓口を絞り込む事で、確かにキャリアーに取っては便利かも知れない。
しかしながら、「情報セキュリティー」が盲点になっているのではないか?
末端の販売フロントが新規加入、乗り換え、解約の手続きをする為には顧客情報DBへのアクセスは必要と思う。問題は、今の様な商流では末端での不正アクセスに対しキャリアの目が届き難くなっている事ではないか?仮にそうであれば、商流を根本から変更せねば顧客情報の漏洩は継続する。
今時、携帯電話なしの生活をしている人は珍しい。従って、国民のほぼ全てが、自分の預り知らぬ所で「個人情報」が得体の知れぬ人間に依って売買されると言う、何とも不気味で気持ちの悪い事になっているのである。
キャリアーは出来るだけ早い機会に、「現状」、「経緯」、「今後の対応」、「被害者への補償」を説明すべきと思う。
山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役